都知事選が起こす変化

現職はやはり強かった

東京都都知事選が終わり、小池百合子氏が20時ちょうどにNHKから当選確実が出された。そして他陣営の情勢も出されたが2番手をつけるのが石丸伸二氏、3番手が蓮舫氏との結果になった。今回の選挙では現職都知事が負けるという大きな山が動くかという着眼点で見ていたが、それも虚しく他陣営は虚しく及ばなかった。私としては"残念"という第一印象である。やはり、東京都知事選挙は現職は強いということを実感した。そして、想像より下回ったポイントは"思った以上に投票率が伸びなかった"ことである。前回より5ポイント程度伸びたが実感値はもう少し伸びていてもよかったのではないだろうか。65%程度までは伸びると思っていたが、やはり東京都民の限界だったのだろう。

変わらないという選択をした都民

2番手以下の部分から言及すると石丸伸二氏のいう国政選挙の代理戦争をやめ、政治屋の一掃という部分は大きく受け入れられていたのかと感じる。そして、何かこれまでの政治を変えてくれるという期待感は大きかった。しかし、結果は"変わらない"という選択をした。変わろうと訴えたが、変わらなかった大阪都構想のときに近い感覚がある。大阪都構想のときも年齢が上の層が変わらないという選択をした。今回の都知事選も60代、70代の多くが現職に投票をした。
変わらないという選択をしたとも言えるが、大半は"伝わらなかった"とも言える。今回の選挙で大きな禍根を残したのはメディアのあり方だろう。特にテレビメディアが選挙告示前には小池VS蓮舫の絵を描いていた。結果、2番手につけた石丸伸二氏を多くのメディアがとりあげなかったことは大きい。今回の選挙でもSNS戦略という報道はしていたが、肝心の中身については報道がほとんどされなかった。「東京一極集中」を今回の選挙の争点に、と思っていたがそれも叶わなかった形である。
もちろん立候補者が56人も出た選挙である。立候補者全員を平等に扱うなど到底できることではない。メディアもどうする?という議論は内部でも起きただろう。ある程度主要候補4人に絞ったメディアも多かったが、報道内容としては十分ではなかったと言える。選挙ポスターや政見放送のパフォーマンス問題など、公職選挙法の問題点など限られた選挙期間にするのは本質的なのかという議論も出てくるだろう。"次の首長をみんなで決める"という大きなゴールの前には二の次、三の次にしても良い話題である。
その面でネットメディアが大きく台頭したとも言える。中でもリハックやニコニコの報道姿勢は素晴らしいものであった。リハックは青年会議所との公開討論会を行い、批判覚悟の条件をつけての討論会。逆にニコニコは無茶な全員に声がけをした討論会を実施。内容的にはカオスな討論会となったのでこれらを指標に大手メディアが判断、方針を出してほしかった。結果、「各候補者、最後の訴え」や「SNS戦略に違い」など本質的でないニュースになってしまうのだ。そんなことなら選挙期間以外も普段の報道姿勢から平等に扱うというのを心がけてほしい。

国政に与える影響

今回の選挙が国政に与える影響はもちろんゼロではない。補選の結果を見ても、与党側も野党側も"今は選挙はしたくない"というのが本音だろう。都知事選3番手になった蓮舫氏の支援する立憲民主党・共産党はこのままの連立では厳しい。しかし、連立を解いたからといって同じ選挙区に両党がいても食い合ってしまう。とはいえ、共産党単体では小選挙区で勝ち残るのは難しいだろう。「比例は共産党」作戦が現実路線だが共倒れしかねない。立憲・共産ともに判断に葛藤しているところだろう。
すでに共産党は小選挙区での擁立を宣言している都道府県連もあるため、どう調整してくるのかも気になるところである。また、福島県などはすでに立共の連立を見送る判断をした都道府県連もある。
国民民主党の玉木雄一郎氏は立憲民主党への立憲・共産の連立解除を呼びかけており、"共産党外しの野党共闘"の可能性も選択肢として示唆している。しかし、国民民主党は"知名度"が圧倒的に少ないため、立憲民主党としては確実に票が確保できる共産との比較をしているところだろう。国民民主党やその支持団体である連合は票がみえないところではあるが、玉木雄一郎氏や榛葉賀津也氏などが一般ウケもよく、かなりYouTubeでの発信も強めている。まだまだ切り抜きは少ないが、他の政党よりも面白い・まともな政党という評価がされている。素材自体は多いため、これからもっと切り抜きが増えていけば、YouTubeでの覇者になる可能性もある。
野党共闘戦線を引くのであれば、維新の会がどちらに転ぶのかも見ものである。今回の都知事選を受けて単独で戦うのかという検討の余地もあるが、都議補選では負けてしまっている。石丸伸二氏との政策の意思は一番近いのは維新である。都知事選で応援が出来ていれば次の衆議院選挙では前向きになった可能性がある。惜しいことをしたという判断だろう。定例会見でも石丸伸二氏との接触を"事実'といまさらながら話しており、今後の石丸伸二氏との連携を模索もしているだろう。自公側につくことも可能性もあるが、与党になりたいであろう維新の会はどちらにつくのか。
そしてもう一つ気になるのは"石丸新党"だろう。しかし、自民党総裁選後の秋解散をベースにすると準備期間が足りないだろう。石丸氏がかなり意識しているのが"想定と準備"であるがそれが間に合うのだろうか。この1週間都知事選の最中と変わらないほどの露出をしている。バラエティにも出ている。テレビ露出が準備とすれば今後の動きについても発表は遅くはないだろう。国政政党になるであろうが、地盤・看板・カバンといわれる選挙でどこまで議席数を獲得できるのか。また、政党としての選挙資金はどうするのかなど気になる部分も多々ある。新党が旋風を起こす場合、当選してからトンデモな候補だった、などの可能性なども排除できない。

有権者は国政をよく観る必要がある

いま、国政の発信力が弱すぎる。メディアによるすべて二次情報だけ見ていても国政は変わらない。普段は自民党支持の私も都知事選では、石丸伸二氏の支持をした。次回の選挙も無条件に自民党ではなく、しっかり判断したいところである。自分の選挙区の立候補者のSNSやYouTubeはしっかりフォローしておきたいところだ。小選挙区は現職以外の主張も聞きに街頭演説にも行く。選挙は見ているだけでなく"参加"する。参政権というのは投票をする権利でもあるが"政治参加"する権利である。今回の石丸伸二の都知事選が教えてくれた教訓だろう。
これからの選挙はしっかりと応援する候補を決めて、動く。そのためにはしっかりと情報収集することだ。
次の大きな情報が出るタイミングは自民党の総裁選だろう。かなりインパクトがないと次の衆議院選挙では議席数は増やせないだろう。石破さん、河野さんなど今までの自民党の顔のような人もよいが、知名度はまだまだだが思い切って小野田紀美氏や小林史明氏など若手を抜擢するくらいの気概を見せてほしい。「どんな人」報道などで一気に新しい情報を発信するチャンスもあるだろう。自民党も変わるという姿勢が思い切って出していく最後のチャンスかもしれない。

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