熊本で見つけた「異空間」
JR熊本駅と、下通や桜町バスターミナルといった熊本中心部の中間くらい。市電の河原町電停のそばに、古びた商店街がある。
多くの店がシャッターを下ろし、細い通りを歩く人の姿はない。
天井から吊るされた蛍光灯はなんだか心もとなく、廃墟のようですらある。
ほこりか土のにおいか、東南アジアの路地裏と同じにおいがして、少し懐かしかった。
少し進むと、女性たちが熊本弁で談笑する声が聞こえてきた。ここは決して廃墟なんかではない。
ここは「河原町繊維問屋街」。
昭和時代には文字通り繊維問屋が軒を連ねていたそう。
その後シャッター商店街と化したが、数年前からクリエイターたちがこの地に集まるように。
現在は、数軒のカフェや雑貨店などが、古い建物をリノベーションして営業している。
熊本市街にもかかわらず、ここだけ独特の静けさがあり異空間という感じである。レトロな雰囲気も相まって違う時間に来たようだ。
この中の一角に、昭和の雑貨を扱うお店があった。
私は、気づいたらそこに吸い込まれていた。店内には昭和の食玩やら雑誌やらレコードやらが所狭しと並ぶ。
「2階もありますよ」。店主の女性にすすめられるまま、急な階段を上るとそこにも大量の昭和雑貨。
LPレコードが一枚200円というのも素晴らしかった。
長居すると元の世界に帰れなくなりそうな気がしたので、ドナ・サマーのアルバムのレコードを買って店を出た。
無事に現代に帰ってこれたようだ。
熊本駅前のアミュプラザよりサクラマチクマモトより、楽しくてオシャレで刺激的なショッピングモールを見つけてしまったようだ。
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