見出し画像

北九州にある"接客しない"カレー屋さん

若松にあるカレー屋さん

石炭輸送で栄えた北九州市若松。
かつて筑豊で採れた石炭は鉄道で運ばれ、ここで船に積み替えられた。
ランドマークになっている若戸大橋の足元には、石造りやレンガの建物がいくつかあり、当時の面影も残る。

石炭輸送の街を支えたのは、ここJR若松駅。かつて賑わっていたであろう筑豊本線のターミナル駅は、現在は静かなローカル線の終点になっている。

そんな若松駅前に、私の大好きなカレー屋さんがある。

店の名前は、カレー専門店「アラジン」。
駅の真ん前にあって、徒歩30秒くらい。トレードマークの黄色い壁がよく目立つ。

接客が”ない”

黄色い壁が一際目立つ

立て付けの悪いドアを開けると、「いらっしゃいませ」といった言葉も聞くことはなく空いている席に腰掛ける。

派手な装飾も洒落たものも特になく、よく言えばシンプル、悪く言えば殺風景な店内だ。昼下がり、ワイドショーの音が響いている。

この店の何がすごいかと言うと、「接客がない」のである。
態度が悪いとかではない。「無」なのだ。

オーナーなのか、店員さんなのか、ポジションはわからないがメガネの男性が一人で調理からサーブ、会計までを行っている。ここには3,4回くらい行っているけれど、ほかのスタッフを見たことがない。

ワンオペの彼は、基本的に無口。にこりともしないし、もちろんイラつきもしていない。

食事を終えた客が、「お金置いときますね」と言って食事代だけ置いて出ていった。いっそ食券のほうがいいのでは...。

壁に貼られたメニューを眺めていると、ランチでは無料でついてくるサラダが静かに置かれた。

カツやポークなど、トッピングはさまざま。日替わりメニューもある。
今回はポークにしてみる。
「ポークね」。彼は、オーダーを復唱して辛さを確認すると、厨房へ戻っていった。

こんなカレー食べたことない…!

ポークカレー。ルーは別添え

ライスとルーは分かれてくる。ルーの中の具材は溶けてなくなっている。
辛さが足りなければ、卓上のスパイスで調節できる。

ここのカレーの特徴は、とにかく野菜の味が効きまくっているということだ。

とくにニンジンの味が強くて、どろりとしつつももはや”粒”の食感すらあるルー。野菜のうまみをこれほどまでに生かしたカレーは、他にないんじゃないだろうか。

そんなカレーに、私はドはまりした。

店のオフィシャルの説明によると、非常に健康に良いらしい。確かに健康に良さそうな味はしている。
初めて食べて以来、若松や戸畑方面に行くときは必ず食べている。

持ち帰りも

このカレー、なんと自宅でも味わえるのだ。

店では冷凍のパックを販売している。5パックで500円。1つ100円であればスーパーで売っているレトルトカレーとあまり変わらない。

このカレーを毎日でも食べたい私は、思わず購入してしまっていた。
「すみません、冷凍のパックください」。私が言うと、黙って冷凍庫まで取りに行った。

そして、
「このまんま湯煎すればいいですから」。
しゃべった!!

…思えば、世の中の飲食店が過剰に接客しすぎなんだよ。
もう最低限の会話でいいんだよ。そう思わされる。

北九州のカレー屋「アラジン」、ぜひ行ってみて。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?