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家から出せない日本人形


子供の頃、電車で一時間かからないところにある祖母の家に週末遊びに行くのが大好きであった。

昭和初期の建築で至る所に古い物があり、ぬか床や、開かずの間等
こどもの冒険心をくすぐる家で

夏は蚊帳に蛍を離し、花火大会を見て、
お祭りに行ったり。

近所の豆屋さんにピーナッツを買いに行き、可愛がられたりと
思い出のほとんどがすばらしく
とても好きな空間であったが、


祖母の家で一つだけ苦手な物があった。

それは、古い日本人形。
曾祖母が大事にしていた人形である。


赤い着物に身を包み、おかっぱ頭の日本人形。


私はどうしてもこれだけは苦手で、
夜薄暗い二階の廊下に飾ってある姿を出来る限り見ないようにして
その奥のトイレに行くのが毎夜の悩みであった。


なぜ飾ってあるかという理由がまた怖い。


結論から言うと処分出来ないからだ。

家から出せないのである。

曾祖母が亡くなった際に私物をある程度処分したが、
人形はお寺さんに供養をお願いしようと言うことになり
お坊さんを呼んで、人形をお寺に持ち帰ってもらった。

はずであった。

が…

お坊さんが風呂敷に人形を包んで運んでいると、人形がどんどん重くなっていったそうだ。

最初は疲労かと思い気に留めなかったが、
ついには運べないほど重くなってしまったらしい。

そこからは動かす事が出来ず、
家に返すことにした。

家に近付けば近付くほど、
どんどんと人形は軽くなっていったらしい。


そのような事もあり、人形は家から出す事はなくなったそうだ。


それ以降、飾られ

結果、家族の誰よりもその家に住んでいる。

その人形の独特な面持ちは、大人になった今でも苦手である。


また、この人形にまつわる話はこれだけではない。


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