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視聴者投稿実話怪談『おばあちゃんの謎の家』

これは、私の怪談を扱う配信に、視聴者の方より投稿されたお話です。




もうすぐ小学生に上がる頃、母方の祖母の家が老築化で解体される影響で私は父方の祖母の家で少しの間生活しており、そこから幼稚園の送迎バスで幼稚園に通ってその家に帰宅する生活をしていました。

その家で暮らしていたのは短い間でしたが私にとっては思い出がたくさんある家でした。
外観は一般的な少々広めの一軒家。庭は趣味であったであろうガーデニングがされており綺麗な花が咲き乱れていました。
綺麗な花を横目に3メーターほど行くと右奥に家のドア、正面は十畳ほどの洋風の天井の高い寝室、ドアへの通路の右側にテレビのある6畳ほどの居間、居間と寝室の間は10畳ほどの和室、和室の右に廊下、トイレ、祖母の寝室、風呂場、キッチンのような構造をしていました。なかなか広くていい家だと思うのですがどうもこの家は何かがおかしいのでした。

私は変わった子供で、一人で機械部品などをいじるのが趣味でしょっちゅう寝室で小さいガラクタを分解して遊んだりしていたのですが、その日もビデオテープやカセットテープを分解して中を見たりして遊んでいると突然寝室のドアが勢いよく閉まって、窓の外は黒い雨と暴力的な風が吹き荒れ花は枯れて落ち稲妻が光り始めたのです。

そうしているうちに窓ガラスが割れて砕け散り巨大な嵐が部屋が部屋の中に吹き込んで海で遭難したようにひどい有様になってしまいました。
「助けて!」とガラスの向こうに見える祖母と母を呼びたかったのですがなぜかテレビを見てみんなで楽しそうに笑っています。まるでこちらが異次元に迷い込んで窓越しに見ているようで、早くこの部屋から出なければいけないと思いドアを必死に叩きました。

約5分ぐらいの間でしょうか、突然嵐が収まり窓ガラスが元に戻りドアのロックが外れたのです。
私は大泣きをしながら祖母のもとへ駆け寄り、先ほどの事は話しましたが父は「そんなことあるわけない。寝てたのか?」祖母は「へぇ〜?そうなんだぁ〜?」と満面の笑みだったことが忘れられません。
未だに覚えている怪奇現象なので記憶が違うということはないと思うのです。

その後私の家庭はバラバラになってしまい父と母は離婚し、別の街に引っ越すことになりました。
父方の祖母と会うことはもう許されず、ほとんど忘れたような生活を送ってきました。父は知らぬ間に病気を発症し、帰らぬ人になっていました。

あれから長い月日が経ち成人を迎えた頃にあの家が気になって気まぐれで、家を見に行こうと思いたち、車を走らせてその場所まで行ってみるとなんと家がなかったのです。どうやら新しい家を建ててそこで祖母の娘の家族たちと暮らしているようでした。

私が暮らしていた祖母の家の場所は空き地になっており、コンビニよりも小さな敷地しかなかったのです。一体どうやってそんな狭い敷地にあの家が建っていたのか未だに分かりません。
まるで空間を捻じ曲げたのかと思うほどで、どう考えてもあの広い家がこんな狭い場所に建つわけないよな、と愕然としている時に、近所の人がやって来て、新しい家の場所を教えてもらい、そこに久しぶりに祖母に会いに行きました。

その約2年後に祖母と娘の夫は突然亡くなりました。あれから区画整理が行われ、全く違う街並みになっておりもう面影すら存在しておりません。

皆さんの記憶の中に存在している懐かしいあの家も、よく考えたらおかしいと思うことがあるかもしれません。



ペンネーム:匿名希望
2021/10/9配信 https://youtu.be/Pn-buzRoCJY
怖いお話募集フォーム https://forms.gle/ybMkLAd37RsCguKr8
※ご投稿内容に改行や誤字脱字修正等の加筆をしていることがあります。

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