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視聴者投稿創作怪談『下り階段』

これは、私の怪談を扱う配信に、視聴者の方より投稿されたお話です。




これは、自分の住むマンションで噂されている話です。

その昔、IT企業に勤める30代の男性が一人でマンションに暮らしていたそうです。そのマンションは1階が駐車場、2階から上が居住フロアになっており、地下はありません。
ある日のこと。残業が伸びに伸び、彼がマンションに着く頃には大方の家の灯りは消えていました。階段で自宅の階まで登ろうとしたのですが、なにか違和感。よく見ると、水道メーターがあるはずの場所に、下り階段。このマンションには、地下なんてなかったはず。そう思いながらも、彼はその下り階段を調べることにしました。

スマホのカメラを回し、1段ずつ、ゆっくり降りていく。
8段降り、踊り場を折り返し、また8段降りる。何度かそれを繰り返すと、明るい場所が。

墓場。陽の光に照らされた、墓場。

自分は今、地下にいるはず。なのに陽の光が射しているとは、どういうことなのか。そんなことを、彼は考えていたのでしょう。
墓場の中に、変な墓石があることに、気づきます。他の墓石はひび割れていたり、文字がかすれていたり、ある程度古いのに。その石は、まるで売り場に並んでいるかのように綺麗で、なにも書いていない。これは誰の墓なのだろう。そんなことをつぶやいていると、どこかから声が。

「君の墓だよ」

ビデオは、そこで終わっていました。
彼のスマホが1階の階段付近で発見されて以来、誰も彼を見ていないのだそう。

この話が本当かどうか、私には分かりません。ですが、時々聞こえるのです。駐車場の下から、男の人のうめき声が……。



ペンネーム:ノボル
2022/4/9配信 https://youtu.be/zyBO-QLKFME
怖いお話募集フォーム https://forms.gle/ybMkLAd37RsCguKr8
※ご投稿内容に改行や誤字脱字修正等の加筆をしていることがあります。

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