でもさ、お前が死んでもエサだけが存在するってのはある部分では正しい事なんだ。

 年の瀬WSの全日程が終わった。「怖い演劇を作ってみよう」がテーマの今回のWS。参加者の皆さんの素晴らしい想像力。不穏で不気味な想像力にとても感銘を受けて今年は恐ろしい年越しを迎えられそうです。ありがとうございます。そして個人WSですが手伝ってくれた排気口の方々、Qちゃん、海国さん、倉里さん、広野くんにも感謝。そして特に今回のWSにも、これまでのWSにも全く関係ないけど母に感謝。サンキューマム。

 排気口は今年の4月に『人足寄場』という怖い演劇を公演した。評判というか終演後のあの凄まじい空気に、今さら昔の台本なんてやりたくないよと駄々をこねていた私はすっかりそんな駄々も忘れて、怖い演劇を作る楽しさをしっかりと味わってしまったのだ。

 『人足寄場』は作・演は私であるが、中村ボリが中心となった本公演ではなく中村ボリ企画公演であった。ホラーと激辛好きは意外と少ないという具合も分からず『人足寄場』初日は数年振りにマジ?!というスカスカ具合に排気口全員が頭を抱えてしまった。が、初日終演後のお客さんの不穏過ぎる後ろ姿にしっかりとした手応えを感じていた私たちは、その予想通り2日目から当日券&増席のワイワイパーティーであった。

 『人足寄場』の稽古場では出演者5人+私の6人だけでひたすら作っていた。結界を張ろうを合言葉に、マジで6人だけでひたすら作っていた。だから途中から何が怖いのか怖くないのか分からなくなっていた。カラスの声をめちゃくちゃな音量で流して役者の声が聞こえないのが一番怖いかもしれないと思い始めた時もヤバかったが、そのアイディアが通りそうになった時がもっとヤバかったかもしれない。

 怖い演劇をつくるというのは楽しいけれども危ないのだ。

 そして来年の夏に『人足寄場2(仮)』を排気口新作長編として予定している。中村ボリ企画公演として始まったのでこの作品にも中村ボリ演じる民俗学者マレ林ポえちゃんが出てくる。『人足寄場』で最後にポえちゃんを殺してしまったので(だって続編やるなんて思ってもなかったから)『人足寄場2(仮)』はポえちゃんの昔の話にしようと思っている。今度のテーマは都市伝説。出演者は前回と同じ+新しく2名。

 大学生のポえちゃんはある時、友人から奇妙な話を聞く。それはある若者が心霊スポットのトンネルに行って行方不明になったという話。そこに出てくるヒノさんという謎の人物。興味をもったポえちゃんは先輩の片手剣子と調査に乗り出す。それは恐怖の冒険譚の始まりだったのだ。

 という話になるかは分かりませんが、『人足寄場』ではポえちゃんはディベート霊能力者萌木めん次郎と一緒に怪異に立ち向かっていって様に、『人足寄場2』では先輩の片手剣子と一緒に怪異に立ち向かっていく。今度は私の大好きな『裏世界ピクニック』にリスペクトを捧げて。

 今回の年の瀬WSに書き下した新作台本。参加者だけが読めるその短篇に繋がる怪異。参加者の皆さんは一層怖く、面白く観れると思います。それまで元気に。穏やかに。来年の夏に。

 けれどもまずは3月の排気口新作長編と名前のない役者達の新作短篇。どちらもホラーではありませんが『時に想像しあった人たち』以降の新作。頑張って書きます。色々と宜しくお願いします。

 皆さんの穏やかな年の瀬を祈って。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?