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俳句「母がくれたもの」
手の平に老母呉れたる朧かな
母が虚空をつまんで、私のほうへゆっくりと差し出す。「くれるん? おおきに」と言って、私はそれを受け取る。手の平の上には当然なにもない。いや、なにもないのではなく、母がくれたものが確かにあるが、私の目には見えない。あるいはそれは、100円玉とか1000円札とかの小遣いであったのかも知れない。またあるいは、飴玉や煎餅などのお菓子であったのかも知れない。それとも、母自身もなにか分かっていないものだったのかも知れない。
だが、それがなんであれ、母が私になにかをくれようとした思いを大切にしたい。たとえ朧であっても、こうして一句に詠めたことで、それは私の宝物になる。
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