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短歌「『すっかり』か『しっかり』か」

しつかりで形容できる事柄が減りゆく母よ しつかり老いて

 老いの価値をどう考えるか。世の中の流れは、アンチエイジングなのかも知れないが、老いを否定的にとらえる限り、結局アンチエイジングの試みは空しいものではないかと私は考えている。私の母は、もうほとんど自分で自分のことを出来なくなってしまったし、話すことも半分以上はよく分からないが、それでもなぜか尊敬出来てしまう。あえて、そう思おうとしているのではなく、一緒にいると自然とそういう気持ちになることがあるのだ。
 では、母のようになって、母の年齢まで生きたいかと問われると微妙なのだが、少なくとも老いに抵抗するよりも、「よく老いる」方法を探っていきたいと私自身は思う。

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