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短歌「平」

枕元すこし上げたる介護ベツドを老母眠れば平にもどす

 土曜の夜に来てくださるヘルパーさんは、母の清拭や足湯、パジャマへの着替えを済ませた後、介護ベッドに母を寝かすと、枕元をすこし上げておいてくださる。こうすると、スムーズに睡眠に入れるとの配慮からだろう。
 昨今は睡眠を感知して、上げておいた背もたれを自動で元に戻すという優れもののベッドもあるようだが、わが家の介護ベッドはそこまでハイテクではないから、母が眠りについたあとは、私が手動で枕元を下げる。
 なお、この作品は「第25回NHK全国短歌大会」の題「平」から想を得たもので、試しに応募もしてみたら、吉川宏志さんが佳作に選んでくださった。母がもう入選を理解できそうにないのが残念だ。

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