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短歌「ひらひら」

ピーラーで削りたるごとひらひらのわが日常は微風にも揺る

 母がなかなか起きようとしない。眠りたいときは、好きなだけ眠っていてもらうというのが、姉と私の方針なので、それはそれでかまわないのだが、いつ起きたいというのか分からないので、こちらはずっと半待機状態となる。基本眠っているので、何をしてもいいのだが、何となく落ち着かなくて、何に手をつけても中途半端になる。これといったこともせず時間だけを見送る。こんなときは、自分の日常はなんと薄っぺらいのだろうと思う。
 そのくせ、ちょっと母の脈が低かったり、すこし熱があったりすると、急に心配になっておろおろする。いつお迎えが来てもいいと覚悟しているつもりなのに、いつもわずかなことに動揺してしまう自分こそ薄っぺらい。

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