見出し画像

俳句「立春」

春立つや身ぬちの鬼と茶を啜る

 そもそも誰もがわが身の中に鬼を飼っている。節分で豆を撒いて鬼を追うたところで、わが身の鬼はそう簡単には追い出せない。と言うか、程度の差こそあれ人間そのものが善と悪を併せ持つ存在であって、善人・悪人というのは、その善が強く出るか、その悪が強く出るかの違いではなかろうか。犯罪のニュースなどを見ると、「よくあんなことが出来たものだ」と奇異の目を向けるが、一歩間違えば自分もそうなる可能性のあることを肝に銘じておくべきだと思う。

 鬼もまたわが一部と考えれば、この鬼とうまく折り合いをつけていくしかない。というわけで、節分が終わればノーサイド。一緒に茶など啜りながら、共に春の到来を喜ぶ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?