見出し画像

【気分循環性障害のはなし/探索】「みんなそうだよ」という言葉の刃物に傷つけられる

「気分循環性障害」を知っている人は少ない。

ほとんどの人が病気だと思わず、「性格だから」で片付けてしまうから。

もしも、次のようなことで困ってたら、この記事を読んでみてほしい。

・ひどく落ち込むと、何も手に付かないし、人に会いたくなくなる
・ジェットコースターのように気分が変わり、自分でコントロールが難しい
・ストレスやプレッシャーに弱い、抱え込みやすい
・自分はもしかして二重人格では?と疑ったことがある
・「気分屋」「落ち着きがない」「気が短い」と評価される
・夜寝るときに、マイナスなことをずっと考えてしまい眠れない



とりあえず処方される睡眠薬

次のように症状が悪化する以前、つまり中学生の頃から、母は私をたまに病院に連れて行っていた。

・朝起きられない。1日中起きていられない。夜眠れない。
 +立ったまま寝る。人と会話をしている最中に寝る。
 +11時出社なのに16時にベッドから這い出る。
  1〜2日ひたすら眠り続ける。常に頭が回らない。
・テンションの上がり下がりが激しい。たまに暴走する。
 +上昇後あるいは下降後の自己嫌悪がひどくなる。
 +絶好調の自分とそうじゃない自分のギャップに苦しむ。
  自分が信用できない。そんな自分を肯定する相手を信じられない。
・ストレスに極端に弱く、泣き叫ぶかひどく落ち込む。
 +モノに当たる。好きなこともやる気になれない。
 +包丁を持ち出す。部屋をめちゃくちゃにする。裸足で外へ飛び出す。
  食欲ゼロになる。「死にたい」と呟き続ける。

特に「朝起きられない」というのは、学校生活にも影響があるから、母は「起立性調節障害」を疑っていた。

起立性調節障害・・・自律神経系の異常で循環器系の調節がうまくいかなくなり、立ちくらみ、疲れやすい、長時間立っていられないといった症状が現れる。不登校の一因になることも多い。

しかし、検査をしても私は起立性調節障害ではなかった。

その後も社会人になるまで、さまざまな心療内科、精神科、睡眠専門の病院を、10か所以上は渡ったと思う。

どこにいっても特に病名はつかず、大した検査をされるわけでもなく、とりあえず睡眠薬を出されるだけ。

病院への不信感、というものばかりが積もっていくだけだった。

ちなみに、睡眠薬が効いたことは、ない。


「眠い」「落ち込む」の深刻さが相手に伝わらない

この病院・病名探しをしているとき、何が辛かったかって、自分の抱える悩みが、医者にも、友達にも、まったく伝わらないことだった。

私「夜眠れなくて、昼間寝ちゃうんです」

医者「昼間寝ちゃうっていうのは、遊びに行くとか楽しいときも?」

私「遊びだと、わりと起きていられるんですけど・・・」

医者「まあ学校とか仕事とか、そういうときは眠くなっちゃうよね。夜寝れたら多少解消されるだろうから、眠れる薬だしとくね」

私「・・・」


夜たくさん寝ても関係ない、遊びのときだって眠くなるときがある、と食い下がったところで、「でもいつもじゃないんでしょ」と言い返されて終わり。

そんなもんだよね、といわれると、そうですね、としか言えなくなってしまう。

睡眠薬が効かないといっても、「とりあえず飲んでみて」と押し付けられる。

辛かった。ほんとにこれは、診察なのか? と。


友達に話してみることもあったけど、「すごく落ち込んじゃうんだよね」「昼間にすごく眠くなっちゃうんだよね」といっても、「わかるわかる、そうなるときあるよね〜」で終わり。


えっ、みんな3日連続の徹夜明けみたいな眠気が毎日来ても、簡単にがまんできるの?

落ち込んだときにどう気分転換するかって話をしてるけど、私はそもそも落ち込んだら暴れる・飛び出す・「死にたい」と繰り返して、気分転換になる行動をとることもできないんだけど?

みんなと同じレベルじゃないはず。でも「眠い」「落ち込む」ってみんなが大なり小なり経験しているから、程度の違いがまったく伝わらない。

相談をするのもあきらめた。



そんなとき、母がまた新しい病院に行こうと誘ってきた。

期待はゼロ。でも、いよいよどうにかしないとやばい。

26歳、とある東京の病院へ、足を踏み入れた。

この記事が参加している募集

多様性を考える

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?