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夜の砂浜入眠法

自然と眠りからめざめる時の感覚って、海から砂浜に打ち上げられるみたいだなと、ある朝ふと思った。

気がつくと波打ち際に倒れている。身体が濡れているけど、少し乾いてきてもいる。濡れているうちはまだ半分眠っていて、見ていた夢と繋がっている感じがする。でも、そのままじっとしていても乾いて行く一方で、波にさらわれてそっちに戻って行くことはなさそうだなと、なんとなくわかる。

アラームで無理に起きる時は、気持ちよく海に浮かんでいるのに、いきなりフックを引っ掛けられて、モーターボートで岸まで引っ張られて行くみたい。岸に着いても、まだびしょびしょで服が重たいのに、そのまま歩き出さないといけないみたい。

だとしたら、眠りにつく時は、砂浜に身を横たえて、波がさらいに来るのをじっと待っているみたい。潮が満ちて、波がだんだん近づいてきて、ぬるい海水の温度を空気から感じる。いつのまにか海の中。

子どもの頃から寝つきが悪くて悩んでいた。今でも2時間や3時間眠れないことは珍しくない。でも最近こういうことを考えてから、眠る前にその感覚をイメージするようにしてみている。ここは夜の砂浜で、あたたかい波を待っている。静かで心地よく美しい砂浜を想像する。呼吸の音に合わせて、波の音を想像する。

そうしていると落ち着くし、うまく眠れる気がする。もっと続けていたら、この砂浜が私の中に本当に存在するようになるかもしれないね。

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