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芸術

芸術

ニューヨーク市に仕事で何度も訪れた。  ワシントンD.C. から 飛行機で1時間。車で高速道路を飛ばせば、5時間程で行ける距離だ。  

企業社員用の通訳ばかりではなく、芸術家と関わる通訳に当たる事があった。

ニューヨーク市に長年住んでいるクリスト(Christo)のロフトを訪問し、クリスト氏と日本の偉い方が面談した事もある。 

通訳にとって、一生一度の希な素晴らしい機会であった。

1935年生まれで、最近2020年に、84歳でお亡くなりになった。

約24年前に、クリスト氏が60歳位の頃、私は日本の偉い方に伴って、クリスト氏の自宅兼スタジオを訪れたのだ。

フロリダにある島を、ピンク色の巨大な布地で取り巻く様な芸術なのだ。  

奇想天外な発想でもあるが、 同じ島を全く違う感覚で 再確認する面白さがあるとのこと。 

ボストン交響楽団が、常時演奏する音楽会場の音響効果を調査する、小集団の通訳業務を行った事もある。  

音楽会場内の木の種類、壁の角度等、勉強になる内容ばかりだった。  

比較対象のため、ワシントンD.C.に飛び、ケネディーセンターのコンサートホールの音響効果も調べた。  

音響効果専門家によると、古いボストン音楽会場の音響効果は、世界的にも抜群であるとの事。

古い時代に建てられたので、現代の大型オーケストラを舞台に載せるのは、「ちょっと窮屈ではある」という、難はあるようだ。

その点、1971年に設立した、現代風音楽会場であるケネディセンターのコンサート会場は、十分広さがある。一長一短なのだ。

日本から学芸員調査団が米国に入国。 メトロポリタン美術館、スミソニアン博物館その他の美術館、博物館を 訪問した。 

米国の美術館、博物館には日本の文物も多いのだ。

掛け軸、屏風、着物、扇子、日本の陶器、焼き物、刀その他、米国中の美術館、博物館に点在している。 

時代を経るに従い、修理が必要になり、 日本から選りすぐりの学芸員が訪米。たまたま、通訳を仰せつかった。

展示している歴史的芸術作品ばかりではなく、実際には美術館、博物館の倉庫に、普段は眠っている、多種多様な日本の美術品がある事も知った。

地元ワシントンD.C.にある、ワシントンナショナルオペラの総監督である、プラシド ドミンゴ氏の通訳を仰せつかった事もある。  

ドミンゴ氏は1996年から2011年まで、総監督を務めた。 

2002年に、ナショナルオペラが日本での公演予定が入っていて、 その打ち合わせのため、2001年、日本から要人達が来米、ドミンゴ氏と会談した際に、 通訳をした。

通訳業務が終了時、 私が車から降りようとすると、ドミンゴ氏が、オペラの場面に出てくる貴族のように、 丁重に私に手を差し伸べて下さった。  3秒間、 貴婦人になったような気分を味わった。 

もうそれから、20年以上の月日が流れたが、印象的場面であったので、昨日の事のようにはっきり覚えている。


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