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はしご酒

はしご酒(Bar Hopping)

はしご酒ではなく、「はしご宗教」ごときを、最近の日曜日に楽しんでいる。

日本生まれであり、長い人生で奈良の東大寺に二度ほど足を運んだこともあった。 

一度目は高校の修学旅行。二度目は米国生活中に、米国生まれの娘にも、奈良の東大寺を実際に見学させてあげたくなり、二人で日本再訪中訪れた。

米国の東海岸生活が長く、しかも、偶然、白人と結婚して、長い家族生活を楽しんだ。

人生の後半で、夫が認知症と診断され、15年に及ぶ闘病生活が続いた。 

後半の7年程は、自宅ではなく、小さな個人経営の施設に入居していた。

お医者さんの説明で、ホスピス医療に移り、一年半後亡くなった。

急病と違って、長い年月の闘病であったので、妻の私は夫の御葬式を何処でするかなどをじっくり考える時間があった。

夫の母君は敬虔なカトリック教徒であったので、「その子供である夫の御葬式はカトリック教会で」と、考えた。

結婚したばかりの頃、東京で共同通信社の海外部勤務中の夫殿は、古い皮表紙のついた聖書を開いて、私を教化しようとする態度も垣間見せた。

当時の私は27才で、日本生まれであり、まだ海外に出た事もなかった。

私は英語も十二分にできない上、西洋の文化にも疎い点が多く、徐々に若かった夫君は宗教の勧誘を諦めたようだ。

それから40年以上の結婚生活で、いつのまにか教会からも足が遠のいてしまった。

もっとも、在米中、母君が我が家に遊びに来てくださった時は、日曜ごとにカトリック教会に家族全員で参加した。

娘は中学時代カトリック教会が運営する学校に通い卒業後、公立高校に進学した。

そのカトリック教会の牧師様とお会いして、私もカトリック教徒になりたいので、その教育をお願いしてみた。

忙し過ぎた牧師さんから良い答えが貰えなかった。 御葬式をお願いする場合、「私もカトリック教徒であった方が良いのでは。」と、考えたのだ。「

御葬式を教会でするには、「なんらかの関係を持つ事が重要だ。」と、思ったのだ。

偶然、いつものように自宅近くを散歩していた時、割と近くに教会がある事を知った。

認知症の病人を抱えていた私としては、早めに御葬式の式場を確保しておきたかった。

飛び込みで急に金銭の支払いだけで、場所を借りるより、何らかの関係を作り上げて置いて、「その上で牧師様に式典をお願いしたい」と、考えたのだ。

偶々通い始めたその教会はユニタリアン ユニバーサリストと言う、改革派の教会である事が徐々にわかった。

政治的活動も割と積極的で、 ヒンズー教徒でもあるインド出身の牧師さんが、毎週大多数の白人教徒に説教していた。  

ヨガあり、瞑想ありで、私は徐々に興味を深めていった。

女性教会員のグループがあり、わたしはそこに所属した。 ラテン系の女性や、典型的白人が多く、アジア人はわたしだけであったが、進歩的考え方の女性グループで、毎週話し合いの場に出席した。

教会員の希望者は、回教寺院見学のチャンスもあった。 

生まれて初めて、ワシントンD.C.にある回教寺院に入り、女性が座る側に落ち着き、見学させていただいた。

10年以上の月日が流れ、教会員の顔見知りも増え、牧師さんとも話す機会があり 夫が亡くなると、牧師様に御葬式の式典進行を全てお願いし、心良く引き受けてくださった。 500ドルの謝礼で、教会のお部屋も使わせて頂けた。

アパート生活3年後、ホノルルでコンドに1年半程前に入居、今度は自分の葬儀の場所を選択する番だ。

田畑に囲まれた藁葺きの家で子供時代を過ごし、仏教徒であった祖父母に育てられた関係もあり、しかも、ハワイでは日本文化も色濃く残っている関係上、自分の御葬式は仏式にしようかと考え、華厳宗である東大寺に、今の所、時々通っている。

今日は、 ホノルルの別格東大寺では、 お釈迦様のお誕生をお祝いする花祭りであった。 生まれて初めて、お釈迦の像に甘茶を掛ける宗教行事に参加した。

日系アメリカ人の場合は、親の代から東大寺に毎週通い続けた家族もいて、知人も多い人が沢山いるが、 アメリカの東部から引っ越してきた私は部外者的気分にもなるが、先祖様をお参りする考え方も、私は受け入れやすい。

運の良い事に偶々ファースト ユニタリアン教会が直ぐ近くにある事を発見、お寺での集会後、教会に足を運んだ。 お寺は朝8時から、教会は朝10時から始まる。

教会側では今日はイースターのお祝い日であった。

ホノルルのユニタリアン教会も、たまたまインド系の神学博士が牧師さんだ。  見渡した所、教会員のほとんどは白人だ。アジア系は私とあと一人程度だった。

東海岸時代は人種的に完全に少数派に属していた私であるが、アメリカ首都近郊と言う場所柄当然であると思っていた。

ホノルルに住み始めて4年強になるが、ハワイ州はハワイ人を始めアジア系の人々が大多数であるが、まだ、私はその状態にも慣れきっているわけでもない。

1日に完全に違う宗教の集会二箇所に参加している。 長年西洋圏に住んでいた関係で、キリスト教的考え方も、完全に否定するわけでは無い。 

日本在住中は、お寺参りに年に1、2回行った程度で、毎週お寺でお坊様の念仏と講話を聴くとは夢にも思わなかったが、しばらく、勉強のつもりでバスで通い続けてみたい。

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