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#011 母暮ALS 遺伝性のはなし 専門医カウンセリング

遺伝性ALSについて専門医の話が聞けるということで家族で話を聞きにいった。

専門医(産婦人科医)、入院時の主治医(脳神経内科医)、遺伝カウンセリングスタッフの3名が準備をしてくださり待っていてくれた。

いただいた資料をもとにまとめてみる。

■筋萎縮性側索硬化症について
・日本での発症率:人口10万人あたり2.2人/年
・日本での有病率:人口10万人あたり9.9人/年
 (2020年の国内患者数は約10500人)
・男性が女性の1.3~1.5倍

■遺伝性について
・全体の90%以上は孤独性ALS、5~10%が家族性ALS。家族性ALSのうち20%に遺伝子の変化を認める。孤発性ALSでも2~4%に遺伝子の変化を認めることがある。
・孤発性、家族性ともに正確な発症の仕組みは明らかになっていないが近年30種類を超える原因遺伝子が報告されて研究されている。
・人種、国、地域によって頻度に差があるが、日本においては、SOD遺伝子32~36%、FUS遺伝子8~11%、TARDBP遺伝子2~3%の順に頻度が多い。

■遺伝子と発症について
・浸透率(病気の原因となる遺伝子変化を持っている人のうち実際に疾患を発症する人の割合)は低いと考えられていて、患者家系内の未発症者において同じ遺伝子の変化を認めたとしても発症を予見はできないと指摘されている。

■TARDBP遺伝子変化の家族性ALSについて
・日本では家族性ALSの約2%~3%、孤発性ALSの0.2%にTARDBP遺伝子の変化が報告されている。
・平均発症年齢は55歳、発症年齢は20~83歳までと幅がある。遺伝子の変化と発症年齢の間に明確な関係はなく、同じ遺伝子変化を持つ家系内でも発症年齢、初発症、進行経過はさまざま。

■常染色体顕性、遺伝形式
・次世代には性別を問わず50%の確立で遺伝子の変化を受け次ぐ。

以上。
おおまかなポイントを記載してみた。

絶望感を味わうのが遺伝子の変化を50%の確立で受け継ぐというくだり。兄弟がいたら2/1の確率でどちらかが発症しますよというのではなく、それぞれ個人の確率としてあるかないか半々ということである。
しかし、資料を読むとわかるように、遺伝子の変化が認められても必ず発症するとはかぎらないとある。

自分なりに解釈すると、発症するだろう人が発症する前に何ら寿命がきてALSを知ることなく人生を全うした人もいただろうと思うし、また、発症軽度で診断がつかぬまま他の病気だと思ったまま人生を終えた人もいるだろう。診断がつきにくい病気であることもふまえてデータが豊富とはいえない。これだけ発症年齢に幅があり、症状にも進度にも個人差があるのだ。まだまだこれから解明されていくのだろう、必要以上にネガティブになることはやめようと考えた。

しかし10万人に2,2人発症の難病なのだ。人口が10万人以下の田舎にあのまま暮らしていて、町医者に老化による筋力の低下だと診察されたまま呑気にしていたら今頃どうなっていたことやら。考えただけで恐ろしい。

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