砂糖菓子の弾丸は撃ち抜けないを読んだ


200ページくらいの手軽に読める分量だったので駆け抜けるように読んだ。
初めのページの新聞抜粋の部分で親友の海野藻屑がバラバラ遺体となって第一発見者が主人公であるという場面から物語が始まる。

転校初日から言動も行動も一癖あり不思議ちゃんのような雰囲気を持っている海野に終始目が離せなかった。でも不思議な部分には胸が痛む理由があり後半のほうで徐々に明かされていくとき悲しい気持ちになった。

印象的な場面が一つあった。主人公の隣の席の野球部の花名島が海野ともみあいになり理性を忘れるほどの怒りを持ち海野を何発も殴る場面。この場面を読んでいるとき自分の中学時代にも同じような光景を見た気がしたからだ。小学生のころから古い新聞を集めているような不思議君だった子がクラスの委員長各の女子と言い合いになり黒板の前で殴り合いになるまでの喧嘩をしたことが一度合ったこと思い出した。不思議君の方は感情のコントロールうまくできない時があった。そのことは僕を含め同じ小学校の人だったら多少知っていることだったと思う。しかし委員長の方は違う小学校だったためそのことを知らないから扱いがわからなかったし、少しおかしい事にからかいがいがあったのだと思う。確か昼休みでクラスの3分の1くらいの人が教室にいたと思う。僕は後ろのロッカーあたりにいたことを覚えている。普段とは違う、怒りに身を任せ涙を目に浮かべた不思議君を僕は止めることが出来なかったし声を上げることもできなかった。ただ後ろから見ているだけだったのを覚えている。

読んでいるときに自分に起きた出来事が思い出されていったん読書を中断してしまうときがあるが、この経験もきっと大事なのだろう。と感じる。

ラスト希望を抱き街を出る決心をして荷物を持つために藻屑が家に帰る場面。それを家の外で待っているとき主人公はどんな気持ちだったんだろうか。

結末が最初に書かれているからこそ、過程に目がいく。読んでいるときの爽快感とは反対に読後の重苦しく地面から足を引っ張られて立ち止まり、事実を直視して考えなければいけない状況に立たされるような感覚を味わさせてくれる作品だった。


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