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浮気するヤンキー

「頑張ってるんだね、そっちの展示も楽しみにしてるね」
あなたの目の周りの細やかなアイシャドウが、照明に弾け、揺れ動く度七色にキラキラと光る。

少し見ない間に大人になったね、もう大人なんだけどさ。
個展おめでとう。大きな写真、並ぶ見慣れた世界。
8月のクーラーを翻し私のこめかみからは、みっともないほどダラダラと大粒の汗が流れ落ちていた。
湿度を越して温い水槽のような東京の夕方、
ストローでマックフロートの底の底まで知ろうと営む私の醜さ。

夏の夕方が1番好きで、1番残すべきだと思う。
爽快じゃない濁った青色、膨らんだ入道雲、フィルム写真が良く似合う。

「は?めたふぁー?」
また変な空気を作ってしまったみたいだ。
知らない人を混じえたお酒の席があまり好きでは無い。口ごもる様に空気を濁し、3秒前を無かったことにする。

最近「言葉が通じない・話が合わない」の話を聞く機会があったけど、私も正しく今ソレで、
ソレによって困ることの第1位は自分がお高くとまってると称されてもおかしくない立場に立たされ、頭を抱える事であった。

最新のジブリ映画の話をした時に、話が通じると思って嬉しくなって、というか知的そうな角張った眼鏡から察した軽率で浅はかな誤診故に、
初対面の相手にメタファーなど使った私がトンチンカンだった。
「最新の若者の言葉じゃなくて?」
頑張れ34歳…!
友人の同じ会社らしき人にエールを送りそうになったが、そもそも実社会においてそんな言葉を振りかざしてるこちらの方が余程異常者であって。
本から生き方を学んだ人間は、三次元社会(既に言い方が気持ち悪い)においてどう生きていけば良いのだろうか。

「お前のその、下ネタ絶対言いませんみたいなその顔本当腹立つんだよ」
昔親しかった人にそう言われた時、彼もまた眼鏡をかけていた。


じっと誰も箸をつけないキュウリに集中し過ぎる時間を過ごす事、
目の前の人が良く手入れされた表情を瞬き「女が1番可愛いのは事後と飲みの時」と豪語していた。

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二人だけの秘密だよ

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