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百貨店のビジネスモデルは時代遅れなのか

先日、子供を祖父母のところへ預けて、久しぶりに夫婦で外出しました。なるべく密にならないようにと近くにある国立の庭園で涼を感じた後で、食事をしようということになり、なるべく安心感のあるところでとなり、近くの百貨店のレストラン街に向かうことにしました。百貨店は良いですよね。

僕は新卒で百貨店に入社し、いろいろな紆余曲折を経て、今の人材サービス企業にいるのですが、かつての仕事の経験と中小企業診断士の学習で得た運営管理の知識が相俟って、ついいろいろなところが気になってしまいます。この店舗のガラスのファサードはノードストロームのニューヨーク店にちょっと似ているとか、この店舗のマーチャンダイジングは○○のはずなのになぜこのゾーニングになっているのか、ラッピングの待ち時間と出来上がりの技術とか。はい、全くもって大きなお世話なんですが。

それでも気になるのは、要は百貨店が好きだからなんですね。そんな百貨店がずっと苦戦していて、地方百貨店の倒産等、長きにわたり極めて難しい状況にあって、ここに来てのコロナ禍の追い討ちは本当に厳しいと改めて思います。

この深刻な状況を政府も憂慮してか、先般より、経済産業省に百貨店研究会を立ち上げ、業界の有識者がさまざまな議論をしてきたそうです。そして、今年7月の報告会において、コロナ禍で業績が落ち込む百貨店業界の体制を強化するため、販売や物流面で連携を検討する作業部会を今年度内にも設けることが決まり、衣料品や食料品分野を念頭に、POS(販売時点情報管理)などの購買データを業界内で共有する基盤の整備や共同物流体制の構築をめざすとのことです。また、報告書ではコロナ禍による外出自粛や電子商取引(EC)の利用増加の影響で百貨店業界は厳しい状況に置かれているにもかかわらず、多くの百貨店では消費者の嗜好の変化や高齢化に対応しきれず、またデジタル化の遅れとして顧客の属性や購買履歴などのデータを管理するシステムが整備されていないそうです。

僕が所属していた店舗では、データウェアハウスを構築するOLAPツールや、情報管理に基づくセントラルバイイングやRFM分析に基づく優良顧客へのアプローチ等も実施していたように記憶していたのですが(昇進試験のため勉強させられたのでいまだに良く覚えてたりします)、意外と世の百貨店はそうでもないんですね。

そんな感じでなかなか大変な百貨店業界ですが、個人的には時代遅れともECによって完全に駆逐されるとは思っていません。もちろんこのままでは厳しく、事業ドメインの再設定等は必要だと思いますが、例えば昔ながらの外商は店舗に行かずに、優良顧客がリアルに商品に触れることができるECにはできない販売戦略ですので、どのような商材を誰に提供するかをマーケットインでしっかり検討した上で展開すれば、少しは事態を改善する一助になるのと思ったりしています。どうなんだろ?

それから、百貨店でつい思い出すのは、業界の隠語等ですね。トイレを遠方と言ったり上得意客を五八様(5×8=40で始終(四十)良く来るから)と読んだり、雨が降ったら「雨に唄えば」流したり、あれは今もやっているんですかね。



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