しなしな、7月5日、午後10時頃

 笹井宏之さんの歌集「えーえんとくちから」を読み始めて、しょっぱなから引き込まれた、というか巻き込まれたのかな?ロッテリアの二階からすっと環境音がひいて、目で言葉を聞くように感覚が紙面に総動員された。なかなかの衝撃。すごいものを目の当たりにすると「僕の方が!」とか「僕なんか……」なんてついつい自我がでしゃばってしまうのだけど、笹井さんの歌はそんな感情を一瞬で解きほぐして「ありがとう、ありがとう」って出会えたことに感謝したくなるばかり。言葉の質って磨いたから変わるというものじゃなくてそのまま輝きを増していくものだと勝手に思い込んでいる。だから僕の言葉が笹井さんみたいになることはないけど、でも、この世界で並列して存在してるんだと思えばそれだけで嬉しいし今すぐにでも歌を詠みたいし、さらにはもっと磨いていきたいと思えてくる。メッキはいらないから。

 くろがねのギアも溶けゆき 光、音、心拍数もとどめるインク

 さ、明日も目が覚めたらいろんな景色が眼球に飛び込んでくるなあ。だいたい忘れちゃうけど、もし気にとまることがあったらちゃんと言葉にしよう。

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