しなしな、7月3日、午後4時頃

 下半期と聞くと下り坂を自分の体重を感じつつずりずりおりていく印象。そんなこんなで今月3日目にして日記の方は初投稿です。みなさんお元気でしょうか。

 僕はというと今月末の引っ越しについてようやく焦り始めたところです。「なんだかいらないものが随分と増えたなあ」なんて思いつつ部屋を見渡してばかりいたここ数年。そのツケを一気に清算する役目を、どうやらこの時空に佇む「僕」が担わなければならないらしい。まったく辟易するぜ!

 とはいえ、世界の存亡くらいの重荷ならまだしも、たかだか1DKに対する責任を放棄するわけにはいかない。そんなことではただ呼吸することさえも億劫になる。諦めることと頑張ることは時に表裏一体。はい、やりましょう。

 まずは断捨離だなと思った僕はメルカリに登録し、いらないbru-rayを数枚出品することにした。僕は世の中で流行しているものには「どうせ僕のためにはその商品は設計されていない」というネガティブな選民思想があり馴染めないんだけど、「ものはいらないけど金は欲しいな」という確たる思いから(メルカリ使う人はだいたいそうだろうけど)アカウント設定の指さばきに躊躇がなかった。

 無事出品まで終え、しばらく作業していると、さっそく商品に買い手がついた。「えらくスムーズだな」と思ってアプリを開けば「やることリスト」が表示されていて、僕はやることにもさして悩まずに黙々と商品を梱包し、気がつけば発送を終えて近所のコンビニを出るところだった。

 すごい、一連の作業にまるで葛藤が産まれない。なんて研磨されたシステムなんだメルカリ。つるっつるじゃないか!そう思うと今度はだんだん不安になってきた。世の中そんなに上手いことあるだろうか?やはりメルカリは僕のためには設計されていなくて、メルカリの運営をしている人たちも「この出品者さあ、なんも分かってないしそもそもやる気あんのかよ」とか言って怒ったり笑ったりしていないだろうか。僕は避けられた世の中の暗礁にわざわざ突っ込んでしまったんじゃなかろうか……。

 ツルツルと流るうつつを気に入った同じ心で壊れて欲しい 

 いやきっとそんなことはないんだ。生きてきた実感と未確認流行業態とのギャップだ。これはあれだ、どうしても世間が「はんこ文化」から脱却できないのと同じ心理状態だ。心に暗礁ができるのは心の目を閉ざした時だ。僕は開こう、目を。そして幻視しよう。世の中のはんこが全てメルカリに出品される狂った状況を……

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?