しなしな6月の歌(19首)

6月はこちらで19首詠みました!
雨が降ったり日傘をさしたり紫陽花が咲いたり蛍が飛んだり・・・ひそひそと夏が近づいてきていた一ヶ月でしたね・・・。

理科室の隅で倒れて継ぎ目より言葉こぼれる人間標本

帰る場所なくしたような朝焼けを眺めつつ避け新宿を出る

蓮の葉が水を飲み太陽を追いつい人になり夕暮れに立つ

こうすれば日よけの効果が倍増と日傘をくるくるくるくるくるくる

琥珀色プツプツグラスに弾けるを相手に語るジュラ紀白亜紀

ナメクジはシンク這いつつ惑いつつ窓越しの雨を聞いてるのか

赤い月、焼肉弁当、我があたま、いびつな三角夏もどきの道

情報を結って束ねた板を持ち新たな臓器と思って撫でる

万年の寿命の亀に夏なんぞ雫が垂れて乾くひととき

植物の生きる気合をもいで食う皮に汗かくタンパク質の実

憂鬱の画数まねて降りしきる雨で着飾る塀の紫陽花

スクリーンを端切れにしてシナプスに縫い付けて持ち帰る金曜 

ともしびの多い街からともしびが消えともしびのないあぜの蛍

熱せられ湯だつ風景目の当たりにして自転車こぐ蜃気楼

記されぬ一日もまた一日と忘れ去りつつ肩はこりつつ

鳥や川の山を縫うを目に耳にしてほつれてた身に当て布す

甘い甘いアイスパン生地シロップに触発されし過ぎた十年

指駆けるキーボード上 電脳と脳の間の百万光年

「わたくし」が息づいた部屋残しおく風の吹き込む道のはじめに

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