しなしな、5月29日、午後5時頃

 今日はマックでひさびさの店内飲食をしている。この記事も店内で書いている。出先で時間をつぶさなければならなくなり、ビッグマックでも食べるかーと思ったからだ。ラムネ味のマックシェイクも気になっていたし。

 もうすっかりおなじみになったレジ前のソーシャルディスタンスに僕も加わって順番を待った。慌ただしくUber Eatsのピックアップをさばきながら、店員さんはスマイル0円で頑張っている。ちなみに僕も真顔が少し笑っているらしいのでスマイル0円だ。雇われしスマイル0円vs注文するスマイル0円。その真空へ提供されるビッグマックとマックシェイク。トレーの上はさながら宇宙だったと、語っておけば十分に大袈裟だろう。

 内容0のことを考えつつ座席に向かうと、数名しか人はいなかった。テーブルの上にはところどころ使用禁止のシール。これには公園が使えない時に似た心地良い退廃を感じたけど、とにかく腹が減っていたので深くは考えず椅子に腰を下ろした。

 さあビッグマック食うぞと思った時、ふとマスクが気になった。このマスク、僕自身は単にウィルスを嫌ってしているのだと思っていたのだけど、根っこのところでは少し違ったらしい。あくまで生活のオプションと位置付けていたマスクが、ここ数ヶ月で下着の上からシャツを着る感覚に近くなっていたみたいだ。要するに「裸にならないためにマスクをつけている」感覚にアップデートされつつあるらしい。なのでマスクを外すのはちょっと人目が気になるし、ほんのり切ない。でもまさかマスクの上からビッグマックを口にするわけにはいかない。そんなことをするとマスクとビッグマックが喉に詰まって死ぬ。

 青空の投げる西日のまばゆさに手を添え笑うマスクをしつつ  

 周りの人々はマスクをはずして黙々と食事をしている。そりゃそうか、ここは天下のマクドナルドだぞ。それにマスクはマスクだ。そう思い直して、僕はマスクをあごにずらしてビッグマックを口にし、ついでマックシェイクをちゅーちゅーやった。おいしかった。

 

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