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Bar HAGEです。 カットシーン集01 私がBarで酒を飲むシーン

★カットされたシーン集
1.私がBarで酒を飲むシーン
 2.地球に帰る前、直人1からハゲお守りを渡されるシーン
 3.私と彼女のラブシーン

★本編
ハゲ小説#3 Bar HAGEです。編 01
ハゲ小説#3 Bar HAGEです。編 02
ハゲ小説#3 Bar HAGEです。編 03
ハゲ小説#3 Bar HAGEです。編 04
ハゲ小説#3 Bar HAGEです。編 05
ハゲ小説#3 Bar HAGEです。編 06
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「何か飲まれますか?」

直人6が、頭の中へ話しかけた。

何かと言われても、メニューもなければ、こんな不思議な場所でどんなお酒が出てくるかもわかりゃしない。焼き鳥を食べにいっても面倒なのでいつも「12種盛り」を注文する私は、ここでも似たように注文をした。

「じゃあ、おまかせを」

私がそう言うと、直人6はカウンター向こうに行き、慣れた手付きで得意げにシェイカーを振りはじめた。そういえば、ここはBarなのにマスターがいないな?ふと、そう疑問に感じたが、そんなことはどうでもいいと思えるほどのやさしく温かな空間の雰囲気と、直人たちが醸し出す圧倒しながらも心地よいオーラを感じていた私は、いつまでもこの場所に座っていたいと思い始めていた。

「どうぞ、シックスセンス・オン・ザ・ハーツです」

「!?」

変わった名前のカクテルだな。そう思いながらも、カウンターに置かれた瞬間にグラスから漂う、心が研ぎ澄まされるような凛とした香りと、いつまでも螺旋を描くようにうねるクリアホワイトのそれを口に含んだ―――。

「!!!!!!?」


私は、蒸し暑い夏に1日履いた後のソックスをペロっと舐めたときのような、なんとも言えないけど香ばしくもある味に思わず絶句したのと同時に、全身を内側から、まごの手でくすぐられているかのようなぞわぞわとした感覚に襲われた。竹中直人11人に囲まれ、小さくなった私は、不味っ!!とも言えず、やむを得ずこう言った。

「とっ、とても変わった味ですね・・・・・」

直人6が、不敵な笑みを少し浮かべ、

「あなたは、青い星の住人ではありますが、心はそこの住人ではありません。このカクテルには、真実のあなたを引き出す作用があります。ご心配いりませんよ。一時的に闇が見えるかもしれませんが、負けずにじっくりと見つめればあなたにとっての光が満ち溢れること請け合いですから」

直人6の言ってる事の意味を全く理解できなかったが、カクテルを飲んだ直後から、額のあたりがじんわりと熱くなってくるのを感じていた。
そして何故か、私が生まれてから大学に通いだすくらいまでの記憶が、まるで走馬灯のようにあざやかに頭に浮かんできた。

幼い頃、学生の頃・・・私は、周囲の友人たちの輪に馴染めず、授業の合間の休み時間に皆がグラウンドで遊びまわっている時も、一人教室に残り、絵を書いたり妄想にふけているような、そんな子供だった。学校の先生がそんな私を心配してよく声をかけてくれていたのだが、私にはそれがとても鬱陶しかった。
まるで、そこにいる事に違和感がある。そう言ったほうがシックリ来るかもしれない。社会人になって6年目、今でもどちらかと言えば、一人でいるのが好きなほうだろう。

時間にしてどれくらいかわからないが、走馬灯が終わる頃、直人7が明るめの口調で語り掛けてきた。

セブンセンス・オン・ザ・ハーツもありますよ!いかがですか?」

「結構です!」

私は即答した。舌が侵されたようなシックスセンスの味が口の中に残っていたからだ。苦虫でなく、以前、家にお邪魔した時に嗅いだ、友人のタロの助の嫁が履いた後のひどく臭いソックスを噛んだような味だ。もう勘弁だ。

何気にチラ見すると、直人7は、少し寂しげな表情を浮かべていた―――。

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ハゲ小説#3 Bar HAGEです。
カットシーン集01 私がBarで酒を飲むシーン 完






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