ハゲ小説#3 Bar HAGEです。編 04

Bar HAGEです。―――この目眩がするほど不思議な光を放つ空間に、11人の竹中直人と並んで座っている。ふと、私は連休明けにやるべき仕事の事を思い出していた。私は、零細企業で経理業務を担当している。数字は子供の頃から好きで、大学も地元の商業系を出た。
今年28歳で一応、彼女はいるが、今は仕事が思いのほか楽しく、結婚は35歳くらいまでにできれば良いと思っている。連休前の金曜日、定時で仕事を切り上げた私は、家賃5万円のワンルームの部屋に戻ると、前日からまとめておいたバックパックを背負い、実家にむけ電車に乗車した。

鈍行列車に乗り換え後、そのまま実家の最寄り駅で降りる予定だった――。



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私は直人たちから、さらに耳を疑うような話しを聞く事になる。


どうやら直人たちには上下関係があるらしく、奥へいくほど「力」があるようで、言ってみれば、最寄りの直人1が平社員なら、奥の直人11は部長か役員といった感じだろうか。佇まいや雰囲気が、私にそう感じさせた。そういえば心なしか、奥へいくにつれ直人のハゲの面積が広いようにも見える。

直人6が、頭部に話しかけてきた。

「あなたたち青い星は・・・」

長いので、箇条書きでまとめると直人6の話しはこんな感じだった。

・宇宙に在る、いわゆる知的生命体の中で、性別があるのは地球だけ
・通常、知的生命体には男性しかおらず、それが子をつくるらしい
・それ故に女性は貴重で、ケナーシ人たちも地球の女性に憧れたり、羨望の眼差しで見ている
・地球の動植物もまた同じ。メスや雌しべは非常に貴重
・一方で、地球の「毛」がある男には物凄く嫌悪感を抱いている
・地球は、おそろしく進化が遅い。なぜ、精神と精神で繋がり、知識を共有しないのか(地球人にとって、悪い星人の邪魔もあるようだと言っていた)
・精神で繋がれば、早い段階で、あらゆる知識を得れるのに(これはため息交じりに言われた)
・繋がりが薄いため文明発展もかなり遅いがその分、他の星にはない、とても魅力を持った文化があり、一部の星人たちの間では、地球に行くことが流行っている
・彼らケナーシ人たちは、ある目的のため活動しているらしい
・直人たち11人は、ケナーシ人の中から選ばれた存在だということ


そしてこの後は、猛々しい様相で、直人10が少し語気を強めて話し出した。

「いいか!?青い星、日本国の住人よ。宇宙に数多にある星の中で、そなたの星以外の星人は全てハゲている。なのになぜ、そなたの星、特に日本国はハゲを認めないのだ?」


直人10はこうも続けた。

「出せば入る。捨てれば新たなエネルギーが入る。それが宇宙の真理だ。
そうしてエネルギーは常にぐるぐる巡る。眠りの間もエネルギーを蓄え、また消費するように。太陽が昼の顔と夜の顔を見せるように。今は生気みなぎる青い星もいずれは枯れ、またみなぎる。我々のみならず、この宇宙に存在する知的生命体は、それに気づき、不要な毛を捨ててきた」

「不要物を捨て、新たに精神と精神で繋がれ!さすればそなたらは、今以上に素晴らしいエネルギーに満ち溢れる!光を妨げ、供給を妨げる毛は不毛だ!ハゲがさらに強きエネルギーを回す!!」

「そうして、今日の宇宙の発展がある。この宇宙の足手まといではいけない。我々は、そなたら青い星をいつも見守っている!さあ、毛を捨てろ!」

「ただし!青い星の女性は別だ。あの見目麗しく美しい髪・全てを見透かしなお、赦しを与える宇宙のように広い寛容さ、そしてここ、惑星ケナーシに微量に生息するアワビモモのような柔らかな肉体は、未来永劫に絶やしてはならない。毛を捨てるべきは、そなたのようなメンズのみだ!!」



っ!??―――――何言ってるんだ!?このハゲは???



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ハゲ小説#3 Bar HAGEです。編 05 へ続く(気がむいたら、だ!w)






愛ゆえに愛が愛に愛という光を・・。 あなたにいつも拈華微笑💖