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私立学校の完全採用マニュアル

大学4年生と、最近よくご飯に行く。
「就職決まりました」

となると、私もついメシを奢りたくなるもんだが、

一方その中で、大学3年生からはこんな声も聞く。

「教員免許を取得して先生になりたいのだが、どうしたらいいのか」

私は「採用試験受けるだけやんけ」と思うのだが、公立学校や私立学校で大きく採用方法が違うので、大学生たちにはいまいち理解されていないようだ。

そこで、一応教員免許を持つ私が「私立学校」の採用試験について、一般的な就職活動の流れをここで紹介したいと思う。


◆大学3年生までの動き

大きく2つに注意せよ。
①教員免許は「中学」「高校」の2種類が無いとその時点でダメ
②準備をする

①については
私立学校は基本的に中高6年で一貫校というのがほとんであるから、単純に採用されにくくなる。だって、入社してから「私、中学の免許は持ってないので高校でしか働けません!」じゃ、使い勝手が悪すぎるので。

なので大学生は、ちゃんと教職科目で中・高の免許を取っておこう!
介護実習・支援学校の実習がウザイといって中学免許から逃げないように・・・

②については
普通ならインターンとか受ける人も一般企業ならありえる3年生だが、私立学校に至ってはそんな制度無い。つまり、動く必要がない。

では、準備とは?
それは、もちろん「学力」。
生徒指導?生活指導?部活?役割分担(校務分掌)なんか山ほどあるのが教師だが、なんといっても「教科力」が第一に無いと話にならない。
「部活動がしたいから、教師になりました」というやつは、まあ(お察しクソ教員)案件なわけだ。

その科目の「教員免許」で採用されるのが教師なんだから、その科目に精通しているのが当たり前じゃないか?

最新の教科書を買い求め、入試問題を解きつくし、来たるべき時に備えておきたいところだ。

ほとんどの場合は、大学入学後、引き続いて入試勉強を続けている学生は少なく、知識も薄れていると思う。
筆者が大学2年生で履修した「教育法」の授業では、その教科の小テスト(高校入試レベル)が毎回あったのだが、まあアホばっかりで、点数が半分以下の受講生ばかりだった。情けないなぁ、と思いつつ毎週満点をとりながら半ば周りの受講生(友人)を嘲笑すらしていたもんだ。



◆大学4年生時のうごき

①夏ごろ(6~8月)に採用案内が出だす

これについては、各学校は、よくある「協定」に縛られていないので、独自に「採用情報」を出す。なので、逐一確認しなければいけない。

都道府県によっては「私学連合会」で登録していると、学校から採用試験の連絡をくれる場合もある。
ぜひ、早いうちに登録しておきたいところ。

ただ、注意をしたいのが
毎年ほとんどの科目で採用情報を出す学校は地雷
ということである。

急激に生徒が増えることがない私立学校。なぜ毎年先生を大量に募集するのか?すぐ分かることだろう。

そんな情報持ってないよ、というのならば、母校の先生に聞いてみよう。どこの学校が毎年採用を大量にしているか大体分かる。注意をして履歴書を出す学校を選ぼう。

ただし、教師の世界では雇用形態が大きく3つに分かれる。
・専任教諭(無期雇用。つまり、正社員のこと)
・常勤講師(有期雇用。しかし、業務は専任と全く同じか少し少ないか。大体最長で3年~5年まで契約が延長される)
・非常勤講師(有期雇用。授業のみ担当。ただし賞与もあるし社会保険も完備しているので、独身ならやり様によってはそれなりに生活ができる)
※ちなみに授業がない長期休暇(8月や12月、3月)でも、固定で給料が支払われるのが私立学校のいいところ。

である。
新卒から専任教諭で採用する場合はめったになく、多くは常勤講師からとなる。ほとんどの学校では、常勤講師は給料が専任にくらべてもちろん安い代わりに、「担任を持たない」「クラブ活動を担当しない」「分掌は1つのみ」「入試問題を作らない」などの、いわば「お試し版」みたいな部分が多い。経験を積んでみよう。
(ブラック学校なら、常勤講師も専任教諭も業務量は変わらない。そのくせ、給料は安く有期雇用なので目も当てられない)
私立学校なら、タイミングと評価さえよければ、そのまま無期雇用に切り替わる可能性もある。

しかし常勤講師といえども、やはり業務量は新卒にとっては多く、精神的負担になりがち。
ここからは持論だが、新卒の人はまず1~2年ほど非常勤講師をしてから常勤・専任を目指した方が一番すっきりすると思う。
授業準備をやりながら、初任者がほかの仕事をこなすのは結構つらいからというのが理由だが、これは賛否が分かれそうだ。

ちなみに、「教師のバトン」とかいうので今炎上しているのは、ほとんどが「公立学校の常勤講師」の場合で、公立学校は普通に常勤に担任も部活動(土・日曜日の運動部が基本。専任教諭になるための採用試験の勉強ができない)も常勤にさせるから、ブラックと言われる所以なのである。

②採用試験の内容とは

これも、もちろん学校ごとに異なる場合もある。

非常勤講師の採用なら、面接だけで済む場合がほとんどだが、たいていの常勤講師以上の採用で課せられるのが「筆記試験」と「模擬授業」である。

「筆記試験」について:
筆記試験は、読んで字のごとく自分の専門とする科目の筆記試験で、レベルはまちまち。

私も3~4校の採用試験を受けたもんだが、すべて内容は違う。
A学校:無試験採用
B学校:センター試験の過去問
C学校:国公立大学の二次試験+センター試験の過去問
などなど。まあ何が投げられても鼻歌歌いながらできるレベルが望ましい。

ちなみに、予備校の採用試験も似たようなもんで、某予備校ならばその予備校の実施している記述模試なんかが出たりするが、これはあまり経験がないので割愛。

「模擬授業」について:
2パターンある。事前に家に教材が郵送されて準備をしっかりして本番に挑むパターンと、当日に教材を渡されて30分くらい個室に詰められてその場で準備するパターン。

前者は経験者のアドバイスなど聞きながらゆっくり案を練れるが、後者は本当にきびしい。どちらも経験がある筆者だが、前者の方が圧倒的な安心感がある。

個人的には、前者の力を見る方がいいのになぁと思う。

だって、本職の先生だって、たった30分で授業準備なんかしないでしょ。
そんなしないことを採用試験で課されてもなぁ、と思う。


③9月以降~ 「内定」となる

すべてをパスし、理事面接など終えたら「採用」となる。おめでとう、これで残りの半年は勉強、否、最後の大学生活をエンジョイできるのである。

ちなみに、研修など無い。OJTが基本なので、一般企業にありがちな入社前研修もない。

これは、良し悪し分かれる。

筆者は新卒採用されたのが学習塾であったから、入社前からハナクソみたいなコンサルから「経営とは?社会人になるということとは?」みたいなゴミみたいな研修があったり、糞ブラック企業のお前が言うなよレベルの「マナー研修」「電話対応研修」「営業研修」、そして仕事の根幹の「授業研修」ってのがあった。

だが、筆者的には「マナー」「電話対応」「授業研修」はすべてが無駄な研修とは決して思わない。これはいきなり学校で現場で学ぶにはきつ過ぎると思う。特に電話対応や営業。保護者とも絶対電話で話すし、保護者懇談のやり方も新卒はわからないので、研修は逆にしてほしいところだ。

とくに授業研修は学校ではないので、その場で学んでいくしかない。これは本当に厳しいと思うので、上でも述べたように、非常勤講師から始めてみて授業のイロハを学んでから専任教諭になるのが好ましいのだ。


④ちょっと待って!秋の採用試験全部落ちちゃった!来年就職浪人!?

安心してほしい。10月以降は、来年度の「非常勤講師採用」が山ほど出てくる。また、採用しきれなかった学校や人気の無い学校の常勤採用試験もまだまだ行われる。
絶望しなくてもいい。必ず来年度はどこかで働ける。
就職浪人をした教員なんか、私の身の回りにはいない。

「非常勤講師しか採用されず、週3日しか仕事がない。こんなのバイトやんけ、どうしたらいいの?」と思う人は、逆に考えよう。

勉強する、授業準備をする時間が多く取れるので、次年度に生かせる。
この部分を学校側は理解しているので、しっかり腐らずいろいろなことにチャレンジしてみよう。

筆者は、たとえば大学へ再入学(科目履修生)して勉強したり、塾や予備校で腕を磨いたりした。また、あるときは放送大学みたいな在宅で授業を受講したり、本をいっぱいよんだりして、日々知識を蓄えた。

そういった日々の努力が、未来に生きるための基礎と必ずなるのが教師である。

でもこれは、別に、教師に限ったことではない。

例えば、

八百屋さんは野菜のプロ。おばあちゃんの知恵レベルの知識まで詳しいし、
車のディーラーは車に詳しい専門家。最新の業界のトレンドまで教えてくれる。

手に職がある社会人は、何らかの分野で日々エキスパートになる努力を積んでいる人がほとんどなのだから、これは別に普通でしょう。


私立学校を目指す大学生。
若い人の将来は夢と希望に満ちている。輝かしい未来を勝ち取ってほしい。

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