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永遠を信じたい夜

これまでの人生で生じた「人との繋がり」は、全て「私が相手を好きになったこと」に起因する。

それを継続するには「私が相手を好きでい続けること」が絶対条件で、そうでなくなった時、簡単に繋がりは切れてしまう。一度切れてしまったら、もうどうやったって復活することはない。矢印がどちらからも向いていないから。

人のことを好きになるのが得意だと思う。

一人の時間は大好きだし大切。
でも同時に、呼吸をするくらい自然に「あの人に会いたいな」とか「今度ここにあの子と一緒に行きたいな」とか、そういう感情を抱くことができる。それを実現するために行動を起こすことも。

全員がそうじゃないということを少しずつ知って、きっとこれは私の個性なんだろうと思うようになった。

もちろんキャパシティはある。人と会う予定を詰めすぎて、苦しくなることは何度もあった。でも、根っこに「会いたい」「遊びたい」という感情があるから。もうそろそろ限界だというのをわかっていても、会おうよと声をかけることを止められない。

人を好きになるのが私だから、仲良くなってくれるのはいつだって「『自分のことを好きでいる人』を好きになる人」だった。

毎週のように会ってくれたり、どんなくだらない遊びにも付き合ってくれたり。
私が相手のことが好きだからという理由で提案するそれらは全て、「確実に自分のことを好きな人間」からの誘いだから受け入れられている。

声をかけてきたのが私である必要はなくて、相手の目はいつだって私の中にある「自分に向けられた好意」だけを見つめている。

寂しいことだとは思わない。思ってた時期もあったけどね。

人にはそれぞれ与えられた役割があって、それが私にとっては誰かを好きになること、それを原動力として人を遊びに誘うことなんだと思う。役割、なんていうと堅苦しいし重いけど、その人の立ち位置ってあるじゃないですか。それです。

だからこそ、私は相手のことをずっと好きでいたいと思う。それくらいしか私にはできないから。でも、どうしてなんだろう。どんなに頑張っても永遠って手に入らない。

ずっと一緒にいようよと言われるたびに、そんな言葉を軽々しく口にしないでと叫びたくなる。
私が一番知っている。誰かを永遠に愛することなんてできないと。向けられた愛を受け取るだけのあなたなんかより、絶対に。何度自分に裏切られたと思っているんだ。

今持っている繋がりを何一つ手放したくない。失いたくない。あなたをずっと好きでいたい。だってそうじゃなくなったら、私たちを繋ぐこの糸はちぎれて、二度と元には戻らない。

握る力も持ち方も何一つ変えていないはずなのに、それでも「好き」という気持ちは予告もなく突然に形を、濃度を変える。

ずっと好きでいたい。それだけを望んでいるのに、欲張ってもいないはずなのに、どうして私に残されたたった一つの取り柄すらも奪われてしまうんだろう。

ああ、もうこの人のことを好きじゃない。そう悟った時、一番傷つけられるのは私だ。
私がつい最近まで好意を向けていた相手にとっては、自分のことを好きだと言う人間が私である必要なんてないけれど。私にとって私は、誰かを好きになり、愛に突き動かされて生きる人間でないと駄目だから。

誰かを、ずっと好きでいられるようになりたいです。
真っ直ぐに心の底から、それが運命であるということを疑わずに一生を誓ってみたいです。

もしも魔法が使えたら、私は自分が抱いた全ての好意を永遠のものにします。

もしも魔法が使えたら / 一ノ清まつ子さん

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