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映画『放送禁止  劇場版〜ニッポンの大家族 Saiko! The Large family 〜』の感想を書き綴る

日本のモキュメンタリー物の作品で、よく名前があがる『放送禁止』シリーズ。
前々から気になっていたので、ようやく観てみました。

この劇場版ですら2009年の作品で、同じ題材を扱ってるTV版に至っては2003年!
けっこう昔の作品だけれど、面白さは色褪せないんだな〜

劇場版は単体でも観れないことはないけど、TV版を観ていたほうが断然解像度が違う!

あと、先が見えないからこそのドキドキ感があるので、未視聴の方はまっさらな気持ちで是非一度視聴してからネタバレ記事を読んでほしい。

❇❇❇❇❇❇

考察サイトは山のようにあるので、ここではネタバレ全開のざっくり感想を書きます。

まずは事前情報としてTV版の概要を……

◎TV版『放送禁止2』〜ある呪われた大家族篇〜

◇TV版 あらすじ

埼玉県のとある大家族(3男4女と両親の計9人家族)『浦さん一家』は、昔によく流行ったいわゆる『大家族モノ』番組のための密着取材を受ける。大所帯で、お金が無いながらも、みんなで支え合ってる笑顔の家族。
一見、平和そうに見えた『浦さん一家』だが取材をしているうちにおかしなことが起き始める……

◆TV版 3行でネタバレ

穀潰しの暴力父親を殺すために
家族みんなで一致団結!
死体を庭に埋めて失踪扱いにする。

・この父親がまぁ〜、腹立つんですよ!
だから最後のシーンでは、いなくなって良かったねぇ、としみじみ思いました。
私はTV版のネタバレは少し知ってたので、色々散りばめられたヒントを読み取るのは容易でした。

◎劇場版『放送禁止』〜ニッポンの大家族 Saiko! The Large family〜

◇劇場版 あらすじ

世界各国の家族問題をテーマにしたドキュメンタリーを撮り続けているカナダの女性映像作家ベロニカ・アディソンが、ニッポンの大家族に密着取材。

埼玉県所沢市に暮らす大家族・浦さん一家は、一見笑顔の絶えない明るい家庭に見える。しかし、長女は家出して音信不通、長男は引きこもり、次男は反抗期、思春期の三女も母親の再婚相手の現父に対する暴力がエスカレートしていた。そんな家庭内のさまざまな問題を抱えながらも、日々懸命に生きようとする一家の暮らしに密着していく。

(シネマトゥディより引用)

◇劇場版 ざっくり本編

・TV版から7年後、子どもたちも成長し、新しい子どもも増えてる!

母親の職場で知り合ったという新しい父親は、どうにか子どもたちと打ち解けようとするが、から回ってばかり。
(特に3女からは毛嫌いされており、殴られたり蹴られたり味噌汁ぶっかけられたりと酷い仕打ちを受けてる。)

・しかし、家族のために奔走する父親の姿を見て、子どもたちは、だんだんと心を許すようになってくれた。

(2男→ベランダから落ちて怪我をしたときに救急車まで運んでもらう。

長女→借金を肩代わりしてもらい風俗から抜け出すことができた。

3女→悪いことをきちんと叱ってもらい親の愛情を知る。)

・家族の仲を深めるために、一家総出でバスに乗り河原で一泊キャンプ。
子どもたちもすっかり父親と認めて笑い合える仲になれた。
最高のエンディングを迎え、取材も終了となった。

……のだが、数日後また浦家を訪れることになる取材班。

母親がキャンプの夜に崖から落ちて植物人間状態になってしまったという。

・残された家族みんなで力を合わせて、母親の帰りを待つ……という締めくくりになった。

◆劇場版 3行ネタバレ

子どもを怪我させて保険金を得る母親
善人である父親と天秤にかける
母親を見限り、子どもたちで病院送り

◆感想

・本当、この新しい父親がめちゃくちゃ善い人なんですよ!

3女の暴力を何度受けても耐えるのみで反撃しない。(3女が長女にも暴力を働いたときだけ平手打ちで叱りつけましたが)あとでちゃんと仲直りもしてるし。

長女が借金こさえて風俗に落ちたときも、探し出して、何度も会いに行って説得して、借金まで肩代わりしてあげる。

あんな仕打ちうけても、途中でめげないのが偉いよね……!

・最初は家族の中で浮いてる感じの空回りお父さんだったけど、家族の問題に立ち向かって、全力で子どもたちのために行動をするところがすごい。
そりゃ子どもたちも心を許しますわ。

・一方で母親のほうはちょっと不穏。

まずは仕事を辞めて専業主婦になっている。(ひきこもり長男をダシにしているが、庭の死体が見つからないように家にいる?)

そして保険金のために子どもに怪我をさせている。
運悪ければ死ぬのに……
子どものトラブルも基本、放置だし。

TV版の父親と似た境遇になってますねぇ。(働かず、子どもに危害を加える)

・TV版では、父親の暴力シーンがリアルで嫌な気持ちになるドキドキ感があったんですけど。

劇場版は、新しい父親がいつ消されてしまうんだろう……?という不安感でドキドキでした。

・というのも、父親が「引っ越したい」と言い出すんですよね。
庭に前の父親の死体が埋まってるから、立ち退いたことで、庭を掘り返されるリスクを避けたい母親一同。
みんな殺人の共犯ですから。

それとなく「まだ引っ越ししなくていいんじゃない?」という雰囲気に持っていく。
でも、7年前の心霊写真騒動のことを耳にして、引っ越しは必要だと思い直す父親。

・このあとから『お父さん特別メニュー』が復活したり、家族旅行に行ったりと、前の父親が消されたときをなぞるような出来事が出てくるんですよ!
このあたりから「えっ、この優しい父親も殺しちゃうの?😰」とTV版を観た人なら思うはず。

・子どもたちは父親と認めて、打ち解けてる様子なのに、殺そうとしてるの?
その笑顔は演技なの!?
と観てて疑心暗鬼😅

・旅行のときになって、今まで一度も姿を見せなかった、引きこもりの長男も参加しててさらに不安感増すのよ……
(前の父親殺害の決定打は長男のバットだから。)

バスの中でバット持ってるの怖いの。
河原でひとり遠くで素振りしてるのも怖いの。
そういや、新しい父親は長男のことはノータッチだったなぁ、とか色々考えちゃって……😨

・まあ、結果としては善い父親ではなく悪い母親を排除しました。
引っ越しの話も、とりあえずは流れたのでヨシ!

最後にベロニカさんが長女を「あなたは家族思いの良い娘さん!」みたいに褒め称えるんですけど。確かに。

『家族がこれ以上、母親に害されないように、長男に指示して母親を排除』しましたからね。

家族思い🤗

・朝の食卓の風景に、普通に長男が溶け込んでるの笑ってしまった。
引きこもり、やめられたんだね〜
ラジオ体操もしてるし!

今までは、母親を恨んでて顔合わせたくなかったのかな?
母親の指示で、大好きだった野球を殺人の手段にして、さらに実行犯となった事実に耐えられなかった、とか。
元気になったなら良かったね……

善良な父親のもとで仲良く暮らしてください。

・あと、ベロニカさんのカタコト日本語で「ヒキコモリ」とか「シンレイシャシン」とか言うシーンが、つい笑ってしまった。
本人、真面目に言ってるからこそ。
え、あそこ笑い所ですよね?

◎総括

ほぼ一時間半と長い尺があるので、父と子の人間ドラマを、しっかり深く掘り下げていて、話の展開に無理を感じませんでした。
ドラマだと分かっていてもジ〜ンと目頭が熱くなることも多々。

その合間合間に母親や子どもたちによる不穏な行動が見て取れて、これは『放送禁止』だったと思い出す。

あとはTV版のシーンのリフレインというか、同じことしてる点や相違点を見比べるのも面白い。

見応えがあって、久しぶりに充足感バッチリでした。
『浦さん一家』よ幸せであれ!

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