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商社から化粧品ベンチャーに飛び込んだ28歳未婚女子の話

キャリア。
男女ともに、人生においてこのテーマで悩む人は多い。

自分がいま進んでいる道が正しいのかなんて全然わからないし、なんなら毎日不安。SNS上でキャリアを駆け上りキラキラしている友人を見ると途端に羨ましくなるが、いまの環境を変える決断をするほどの勇気はない。

「ああ、図星だ」と思っても安心してほしい、それがダメとか否定する気は一切ない。なんなら、半年前までの私もそうだった。

そんな私が何を感じてどうして転職という決断に至ったか、1人でも多くの人の参考になればと思いささやかながら書いてみたので読んでほしい。


新卒でアパレル商社へ

さかのぼること7年前。

当時20歳の私は人並みに酒を飲み、旅行もして、人生の夏休みと呼ばれる大学生生活を満喫していたただの女子大学生。
3年生も後半に差し掛かり、就職活動を控えていた私は進路に悩んでいたが、なんとなく服が好きで、海外に行くのも好きで、人と話すのも好きで
このなんとなくというだけの感情でアパレル商社に入った。

自分の思い描く服を企画できて、作れて、しかも会社のお金で海外に出張に行ける。それ最高じゃね?って
ただそれだけ。

そもそも遊んでばかりの大学生のときに明確に働きたい理由を探すほうが難しいと感じているのは私だけだろうか?笑


入社後の5年間

こうして無事、希望したアパレル商社に入社したものの業務内容、雰囲気などの全てにおいて理想と現実は恐ろしいほど乖離していた。事前に私が調べていなかっただけで、完全に私が悪い。単なる結果論でしかないのだが、次からはその理想とのギャップについて詳しく書いていこうと思う。


進まないデジタル化

世はデジタル時代。ありとあらゆるものがインターネットによってつながるIoT、最近ではDXと呼ばれるデジタルトランスフォーメーションによって市場は毎日のように変化、新たなサービスも次々と生まれている。

数多ある業界の中でもアパレルは最もデジタル化が遅れていると言っても過言ではないだろう。この業界だけ10年以上時が止まっているかのようである。

そもそも「人が人に合うようにリアルな物を作る」類のビジネスについては非常にデジタル化しにくい側面がある。

最もわかりやすい例が商品企画~発注~生産のフロー。

①新商品のデザインを書き起こし、客と商談
②そのデザインに合いそうな生地を提案してサンプルまで作成し、再度商談
③違う生地で作ったサンプルが見たいと言われ、またサンプル作成し商談
④生地OKが出たら今度は使用する付属品(ボタンやファスナー)を約1万候補の実物ブックからピックアップし、再度サンプルを作成し商談
⑤生地、付属屋へメールかFAXにて発注
⑥本番の生地片を取り寄せ、生地の色がサンプル作成時のものと相違ないか客に確認
⑦生産前、納品前、展示会用にそれぞれ1~10着のサンプルを作成し客と一緒に確認
⑧本納品

上記の通り一切デジタル化されていない8つのフローを経てようやく納品となる。よくTwitterとかで笑われているが、いまだにFAXを使用しているアパレル会社は数えきれないほどいる。というかたぶんほとんどのアパレル商社でまだ使っているのではないだろうか。

これは地方の生地屋や付属屋、客である中小アパレル会社がFAXでしか発注書や納品書を受け付けていないことが大きな原因であり、言ってしまえばPCもろくに使えない、電話でも全然話が通じないくせに長電話になるような50-60歳と商売しているので仕方がない。

こんな職場に慣れていると不思議なものでこれが当たり前のように思えてくる。一歩外では毎日多くの会社が競うようにデジタル化、新しいデジタルサービスがローンチしているのに、危機感さえも次第になくなる。

知らず知らずのうちに時代から取り残されているのである。

当時から私は大学時代の友人と1ヶ月に1回は飲みに行っているのだが、卒業以降年々友人と私の間のデジタルリテラシーの差が激しくなっていた。友人は大手のWeb広告会社で働いており、勤務地は渋谷。まさにWeb系キラキラ女性の典型的パターンだ。

2年も経てば友人の話にはついていけなくなっていた。この状況を仕方ないと自分に言い聞かせて、このままデジタルに疎い時代遅れの人材になっていく自分が正直嫌いで仕方なかったが、それだけの理由でいまの会社を辞める気にはなれなかった。


伸びない繊維産業

みなさんご存知の通りアパレル業界というのは国の発展とともに拡大していく市場である。なぜならアパレル産業そのものが労働集約型産業であり、アパレル製品の需要が人口の増加に比例して大きくなっていくからである。

日本はどうだろう。

日本はすでに発展しきった先進国であることは間違いなく、国内縫製業も縮小の一途、人口は2009年より11年連続で減少している。この状況ではもちろん繊維産業は伸びるわけがない。データによると1991年から日本国内の繊維産業は縮小し続けているそうだ。

①消費者が減少し購買額も減少
→②売先であるアパレル会社が規模縮小
→③客からのオーダーが減少し売上ダウン。生地、付属の発注も減少。
→④生地、付属屋は仕事がなくなり倒産
→⑤お金に困る
→⑥購買額減少
→②に戻る

国内繊維産業はこの悪循環を20年以上続けている。

よくニュースに取り上げられるZOZOTOWNやUNIQLOは先ほど述べたDXを活用したほんの一握りの会社であり、国内繊維産業全体の縮小は今後も続いていくことは間違いない。

私が働いていたときもやはり明るいニュースは少なかった。あそこの会社が倒産したと聞くのは日常茶飯事。これも不思議なもので、毎日この状況が続くとこれが普通かのように思えてくる。

明るいニュースが少ないというのは思っている以上によくないことで、個々人のモチベーションに関係してくる。伸びている会社、業界では「あの会社の業績、昨対150%らしいよ、私たちも頑張ろう!!」というのが日常会話のようにあるのだが、これが一切ない。結果として上を目指すためのモチベーションを維持することも難しく、仕事へのやる気も出ないまま、縮小していく市場の中で他社と利益の取り合いに勤しむ。

伸びてる業界で働いてみたいなあ、、、そう思いながらいつのまにか5年。年齢も27歳になり、友人の結婚ラッシュも重なり、自分の人生これでいいのかと悩む毎日。


きっかけ

きっかけは本当に単純なものでたまたまYoutubeで見つけた動画である。

「橋本徹VS高学歴ニート」

この動画はいまでも1ヶ月に1回は必ず見ている気がする

「燃焼できる環境に身をおけ」
「好き嫌い言える、環境を変えてわがまま言えるのも35歳まで」

たまたま見た動画で橋本さんが言っているこの2つのワードが当時の私にとっては痛いところを突いているような気がして本当につらかったのを覚えている。

私は燃焼してるのか?
→絶対してない。
いまの環境を継続して燃焼する可能性はあるのか?
→いや、それは絶対ない気がする。直観だけど断言できる。
35歳まであと何年?
→あと7年。新卒から数えたらもう残り半分かー、、、


動画を見終わってからの2時間、ひたすらこのような自問自答が頭の中をグルグルしていた。置かれている自分の状況は理解できている、このままの環境で自分が一生満足しないのも理解している、でもなあ、、、転職かあ。転職したほうがいいのかな、、、
こんな感じである。

「鉄は熱いうちに打て」ということわざがあるが、まさにその通りだと思う。大抵の人の場合、自分の意思というものは自分が思っている以上に弱い。それを自覚していたからこそ、すぐ行動しないと、この熱い気持ちがどこかへ消え去ってしまう気がしてならなかった。まさに橋本さんが言う「行動力」

悩んだ挙句、その夜にとりあえずいまの会社を辞める決断はできた。

次の日の朝、会社の上司に辞職したい旨を伝えた。


その後~いま現在

突然の申し立てだったにも関わらず、業務引き継ぎを含む退職手続きはスムーズに進み、約2か月後には有給休暇も使い果たして正式に退社となった。

退職を決めてから不安になることはもちろんあったが、それよりもいまこの時点で自分で決断できたことについての誇らしい気持ちのほうが強かったような気がする。自分に嘘をつき続けながら働き続けた(消費していた)5年間が辛かったからこそ、肩の荷がスッと下りたような感覚とでも言うのだろうか、とても楽になった気分だった。

ありがたいことに友人の紹介で退職後すぐに内定をもらい、現在は化粧品のベンチャーで働いていて、新ブランドの立ち上げからブランディングといった、いわゆる化粧品のD2Cビジネスをやっている。全く知識もない私を拾ってくれたいまの会社の社長には頭が上がらないし、なによりも今の仕事が楽しい。

賛否両論あるとは思うが、やはり伸びている業界で新しいサービスや技術を使ったビジネスはやりがいがあるし高いモチベーションを維持できることを実感している。その分移り変わりが激しく、学び続けないと生き残れない世界であることは間違いないが、なにも変わらない暗い世界よりは百倍マシだし、頑張ろうという気持ちになる。あくまで個人的意見だが。


最後に

勘違いしないでほしいのだが、私はアパレル業界で働く全ての人を否定しているわけではない。ただ、時代遅れな慣習が多く残っているのは事実だし、市場の縮小とともに中小企業の多くはこれから淘汰されていくのも間違いないと思う。私が学生時代に思っていた数倍、アパレル業界というのは泥臭く、デジタル化しにくい世界で、私の理想とはかけ離れていたということ。

環境を変えるというのは非常に勇気がいることだが、大きな決断をするなら年齢が若いほうがいい。万が一その決断が誤っていたとしても取り返せるし、若いというだけで周りが助けてくれることもある。挑戦に年齢は関係ないというが、やはり年齢を重ねるほど家庭を中心に守るものが増え、大きな決断には若い頃の数十倍の勇気がいるだろうと予想されると個人的に感じている。

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