見出し画像

2月に読んだ本

兎角冬はやる気が出ずこの1ヶ月論文執筆などやらねばならないのに現実逃避に映画ばっか観てました。

自戒の意味も込めて少し2月中の振り返ろうと思います。

『叛逆の神話 「反体制」はカネになる』

ジョセフ・ヒース&アンドルー・ポター著 栗原百代訳

本書の初版は2014年に書かれた主にアメリカのカウンターカルチャーの思想史についてのものですが、ヒースとポターが言うように15年ほど経った現在でも多くの部分は変わらないように思います。

思想史に関する書籍というと小難しい印象を受けていましたが、映画や小説をふんだんに取り上げ、明瞭かつユーモラス(時にブラックユーモア的に)、ウィットに富んだ文章は読み易かった。

『「いき」の構造』

九鬼周造著

今月読んだ本の中では最も難解だった。

哲学者九鬼周造が日本民族に特有と思われる「いき」とは何かについて論理的に迫った大著。

文章構造そのものは比較的易しめではあるが、引用される古典に私は馴染みがなく読み込むのに苦労した。(特に歌舞伎あたり)

「いき」の構造分析の中で個人的に興味をそそられるのは九鬼が提案する「いき」とその類概念をまとめた直六面体。この直六面体にまとめるという事そのものが「いき」。

スクリーンショット 2022-03-01 18.55.24

この構造分析は応用範囲が広く、九鬼は後半で日常の様々なものを対象に分析している。

『「いき」の構造』が単行本の形で出版されたのはおよそ90年前の1930年であるが、こうした構造分析は現代においても十分応用可能だし、もう少しちゃんと研究してみたいなと。

『高校数学の美しい物語』

マスオ著

とある事情から中学・高校の数学をやり直したいと思って読み始めるも久々すぎてまあ分からん。

かつて理解できていた事が不思議でしょうがない。

定理や公理の証明をメインにしているが、本書の後半に書かれている「じゃんけんグリコの最適戦略」や「ニム(複数山の石取りゲーム)の必勝法」など身近な数学的問題の解説は非常に面白い。

はー、数学勉強しなおそ。

『雪の結晶はなぜ六角形なのか』

小林禎作著

「雪は天からの手紙である」という中谷宇吉郎の言葉はクイズプレイヤーには有名なんじゃないかと(笑)。

このロマンティックな言葉に代表されるように、(冬が大嫌いな私でさえ)雪には不思議な魅力を感じざるを得ない。

本書では、雪の結晶の研究を通史的に紹介している。もちろん、著者自身の研究も含まれるが、雪の研究史をまとめたものとしては大変読み応えがある。


2月はあんまり調子出なかったですね。

気を取り直して春を迎えましょう。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?