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3月に読んだ本の読食感

ろんぶん が やばい。
それ以外に言うことはない。年度の切り替わりということもありバタバタしている。特に3月下旬からは東京と大阪を行き来する羽目になった。
今後も読書に充てられる時間はどんどん減っていく予感しかしない。

それはそうとして、今回から読食感なるものを付け加えてみた。読み方は「どくしょっかん」。

『アフリカなんて二度と思い出したくないわっ!アホ!!―…でも、やっぱり好き(泣)。』


さくら剛
自称6流作家のさくら剛さん。尊敬すべきバックパッカーの大先輩の旅行記。かねてより読もう読もうと思っておったが、機会に恵まれたので。

個人的には、「世界史」で描かれているイスラエルのあたりが好き。
半分くらいはうんこの話で構成されてる本。

読食感としては、異国で食べるよくわからん癖のある食べ物。旨味と辛味と酸味と塩味と甘みが複雑に配合されてる。

『哲学の使い方』

鷲田清一
現代思想の大御所鷲田先生の比較的入門向け(だと思われるが、ちょっと難しい箇所も有る)。再読。
現代のアカデミックな哲学のあり方を批判しつつ臨床哲学というあり方を示唆する。

読食感としては、堅実でありつつ癖がなく食べやすい蕎麦の様。何度でも食べられるしたまに食べることでその美味しさを思い出す。アクセントに軽めの天ぷらがついている。

『雨月物語 ビギナーズ・クラシックス 日本の古典』

上田秋成
佐藤至子編

中高で習った古典・古文は超がつくほど苦手でしたが、雨月物語は(初心者向けってのも有るだろうけど)非常に面白く読めた。
物語としては現代のファンタジーに底通する様な設定や表現があるし、何より解説がわかりやすい。

読食感としては、高級羊羹。餡子があまり好きで無い私にも食べやすくさっぱりしていてかつ風味豊か。緑茶(解説)もちょうど良い。

『新訳 武士道 ビギナーズ 日本の思想』

新渡戸稲造
大久保喬樹訳

こちらも角川のビギナーズシリーズ。半分研究のためでもあったが、大半が直接的には関係ないのでこちらにまとめる。
西洋に日本独自の侍あるいは武士の精神が如何なるものかを紹介する目的で書かれたものだが、現代まで脈々と受け継がれる精神性もあれば超克された精神もあるのだと思い知らされる。

読食感、和食。圧倒的和食感。それも豪勢な懐石料理とかでは無い。

『君の膵臓をたべたい』

住野よる

友人の強い推薦があり読んでみた。
これまでにあまり読んだ事の無いジャンルの作品であり、その意味で新鮮な味わいであった。
だが、率直な感想としては、あまり私の趣味では無い。こう言った青春ものを読むにはいささか歳をとりすぎた様な気がする。
煌びやかで淡いパステルカラーの作品を純粋に楽しめる心意気を得たいと思った。

読食感としては、ラズベリージャムがかかったオレンジピール入りのアイスクリームが乗ったパフェ。基本的に正当なスイーツっぽい味わい。見た目も綺麗。アクセントに少しの苦味がある。

『羊と鋼の森』

宮下奈都

移動中に読む本がなくなり飛行機と在来線の中で読破。
主人公の青年が周囲の人々や仕事との関わりの中で成長する姿を描く。読んでいてハッとしたりすることは少ないものの、十分な読み応えがある。全体として綺麗にまとまってはいる様に思えるが、やや薄口な感。それがまたいいのだろうか。

もし仮に漫画家するなら『左利きのエレン』の作者に描いて欲しい。
何となく話が似ている気がした。

読食感、さっぱりしたロゼワイン。作中の自然的描写が多彩。飲んでいて爽やか。心地よい冷気を感じる。


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