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デジタルツインの注目企業、Bentley SystemsのIPO申請書を読む

インフラ管理ソフトウエア開発を手掛ける米Bentley Systems(ベントレー・システムズ)が、2020年9月23日にNASDAQに上場しました。
注目度の高い「デジタルツイン」領域をど真ん中から攻めているだけでなく、創業家のオーナーシップの強さや、優秀なエンジニアが揃っているなど、見どころが多い企業です。同社のIPO申請書(Form S-1)ざっと要約します。

創業ストーリー

1984年、米国のペンシルバニア州にて、社名の由来ともなるベントレー兄弟がベントレー・システムズを創業しました。ベントレー兄弟はエンジニア出身であり、これが同社のエンジニアリング重視の社風につながっています。また、2020年時点でボードメンバーのうち4名をベントレー家が占めており、創業家が強いトップレッドの会社であることがうかがえます。

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ミッション

インフラ業界を中心に、イノベーションを起こすソフトウェアを提供する

ユーザーペイン

鉄道、発電所、上下水道、建設業などのインフラ業界は、デジタル化の遅れや生産性の低さが大きな課題となっています。というのも、物理的な設備を多く抱えているインフラ業界は、ソフトウェア企業のような「アジャイル」なプロダクト改善が難しいのです。たとえば工場設備のレイアウトを少し変えて稼働の最適化を目指したとしても、重厚長大な機器の入れ替えには巨額のコストがかかり、試行錯誤を繰り返すことが難しい状況です。

ソリューション

バーチャル空間上に現実世界のコピーを作る「デジタルツイン」技術をコアに、大規模設備やプロジェクトの管理を支援するさまざまなソフトウェアやソリューションを提供しています。現実世界の状況をリアルタイムでデジタルシンクし、高度なシミュレーションを可能にしています。

主な顧客

鉄道、空港、水道局、発電、上水・下水施設、商業ビル、ビル、病院、大学などのインフラ、建築、製造業などが主な顧客です。

ビジネスモデル

ビジネスモデルは比較的オーソドックスなソフトウェアのサブスクリプションです。24時間のサポートデスクや、各種のラーニングコンテンツもサブスクリプションに含まれています。

売上高

$608M (2019年度実績)

グローバル172カ国で展開しており、アジア太平洋エリアは約2割。近年は中国での売上が増加中です。

従業員数

約4000人

シーメンスとの関係

欧州最大のエンジニアリング会社である独シーメンスは、2016年にベントレー・システムズと戦略提携を結び、その2年後さらに協力関係を強化しました。シーメンスは製造業のデジタライゼーションに大変力を入れており、将来的にはベントレー・システムズの買収を検討しているとの報道もあります。


デジタルツイン技術は個人的に大変注目しており、改めてエントリーを書きたいと思います。

参考:Bentley SystemsのIPO申請書(Form S-1)

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