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馬車

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あおよ やすらかに

あおよ やすらかに

今から76年前、そしてそれ以前の日本では、毎日のように空襲警報のサイレンが鳴り、次々に爆弾が落とされていました。

昭和20年3月10日の東京大空襲は、たった一夜にして約10万人の人命が奪われました。その他に、当時市民の生活、市街地の物流を支えていた「ばん馬」が、この空襲で約1000頭以上が亡くなったといわれています。

私は、小さいころに見せてもらった紙芝居「あおよ かえってこい」を思い出しまし

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重種馬のセカンドキャリア ~カイセキンザンの場合~

重種馬のセカンドキャリア ~カイセキンザンの場合~

京都の下鴨神社、糺の森付近で、毎週末(不定期)に洋式馬車を曳いている芦毛のお馬さんがいます。

馬の名前は「マウリ」

ハワイの言葉で「命」という意味です。

実はこの馬、元はばんえい競走馬でした。

競走馬名は「カイセキンザン」

4年間の競走生活で49戦10勝とそこそこの成績でしたが、明け5歳の春に競走馬登録抹消、馬肉市場のセリに出されることになってしまいました。いざセリで落としたのは食肉業者

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「馬よ花野に眠るべし」

「馬よ花野に眠るべし」

作家の水上勉さんが応召され、輜重隊に所属した時の体験をもとに書かれた小説です。

私が所蔵する初版本の帯には「まるで馬と夫婦になり、果てはそいつと心中までしたような、元輜重兵善六の哀しくも心温まる馬男ケッサク人生双六!」と書かれてありますが、内容はそんなコミカルなものではなく、

「馬とは何か」

「馬と生活するとはどういうことか」

「馬と人生を共にするとはどういうことが」

が書かれている、と

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