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経年変化を楽しめますか?

本物の材料は経年変化、劣化がつきものです。

例えば写真の杉板。
無垢の木は、日焼けしたり、
コンクリートやモルタルはクラックだったり。
鉄や真鍮はサビきたり、塗り壁も変色やヒビ割れだったり。

材料が本物になるほど手がかかり、時間と共に変化して行きます。
ただ、手入れをしてあげると長く使えます。

その変化、経年変化を楽しめるか、楽しめないかで、選ぶ仕様も変わってきます。

ちなみに僕は経年変化、劣化を好みます。
いいとか悪いとかって話ではなくて、価値観ですかね?
建築が好きというのが大きいかな。

経年変化は嫌だから、新築の状態で永久的に保ちたいって人は本物の材料はできるだけ使わない方がいいでしょう。


新築工事になると、要望の一つで多いのは
「新築した綺麗な状態で、劣化やメンテなどできるだけ必要ないようにしたい」という要望。

すごくいいと思います。
綺麗なままで、ずっと維持してくれると気持ちいいですもんね。
メンテナンスフリーも大事な部分です。

その場合は、自然素材や無垢材は使わない方がいい。
自然素材や無垢材は経年変化もしますし、劣化もします。
メンテナンスで手間暇かかるし、お金も必要です。

なので、無垢材とか珪藻土とか、外部だと無垢の板とかは貼らない方がいいでしょう。
室内の床は、シート貼りのフローリング。
ウチの標準仕様のフローリングは、Nodaのアートクチュール・シス。
シート貼りだけど、一見本物の木に見える良品なので、見学会などではお客さんも本物の木と間違えるほど。オススメです。
メンテナンスも、ほぼ何もしなくてよくて、毎日の掃除くらいかな。

綺麗に使えば、すごく長持ちします。

例えば、外壁のサイディングって、経年変化、劣化なので塗装が剥がれたり、色褪せたりしますので、メンテナンスが必要です。
外壁で僕が考える最強材料はガルバリウム鋼板でしょう。
海の近くはダメですけど。
過去にガルバはいっぱい貼ってきましたが、色褪せも、塗装剥がれも10年くらいでは発生しません。

先日は不具合で塗装剥がれがありましたが。
不具合というのも製造過程で、何かしらのあったようで、9年目で突然剥がれ出しました。
保証期間内だったので、無償で塗装修繕。

他にも経年劣化はありますが、気にしすぎると家は建たないほうがいいってなりますw

それよりも経年変化も劣化もネガティブに捉えるんじゃなくて、ポジティブに捉える方が暮らしも楽しくていいんじゃないかなぁって思います。

外部の独立柱。
自然塗装で保護をする。
基本的にはクリア塗装で素材の色を引き立たせる。


逆に経年変化を楽しむ人もいます。

経年変化を楽しめない人は、無垢材や塗り仕上げなど、本物の材料を使いのはおすすめしていませんと先ほど言いました。

写真の杉板も無垢材で外壁に使うもの。
自然塗装して保護はしますが、経年変化や劣化はしてきます。

日焼けしたり変色したりとか。

でもその日焼けがなんとも言えない、いい味というか色気となって深くなる。

古民家とか神社仏閣が「いいな」って思ったことがありませんか?

そこには歴史がある。
建築なら長い年月をかけた経年変化がある。
外壁や柱、フロア。
コンクリートも色が落ち着いた雰囲気やクラック。
汚れや苔。
時間という仕上げは人の手ではできない。
だから、いいんですよね。

新しい時って、まだ空間が落ち着いていない。
住宅でも店舗でも、全てが新しくキラキラしてるけど、全てが落ち着いてないからどこかしらに違和感を感じる。
家具もぎこちなさそうに置かれている感じ。

数ヶ月、数年するとなんだかどっしりと落ち着いてきて素敵な空間となる。そこに住まう人も。
そこには少しずつ時間をかけて空間が馴染むんだろうな。
見慣れるだけだろうか。
そうじゃない気がする。

古民家や古い建築など、数十年、数百年の時間を経て出せる雰囲気、空気感、色気がある。
上手く伝えられないけど、この時間という仕上げがすごく大事なんだなぁと。
こればかりは人の手では生み出せない仕上げ材。
だから経年変化する自然素材や無垢材など、手間暇かかりますが、その分愛着も湧きますし、建築が好きになる。

子育てと一緒かな?
夫婦でも同じかな?

完璧じゃなく、余白があるから素敵なんです。
なんかまとまってないですねw
なんとなく伝わると嬉しいですw


ウチのお店も3年目?4年目?にして空間が落ち着いてきました。
日に日に好きになる自分のお店w
自画自賛です。

外壁はレッドシダーに自然塗装。
黒ずんできたり、日焼けや色褪せたり。
庇は鉄で作ったので、サビで外壁に汚れがついてる。
床のコンクリートは割れてるし、天井板は、はじめの頃より色が深く濃くなってきた。

少しづつ変化する空間。
そんな空間で生活できるって素敵だと思いませんか??

割れたコンクリート
色深くなった天井
一枚板の楠のテーブルも少し割れてます。
壁の日焼けとか、この空間にあるもの全てが少しづつ変化していく。

あ〜、テーブル歪んできたなぁ〜
しょうがないなぁ〜
みたいな、子供を見る感じというか、不具合なんだろうけど、許せるし、歪みや割れに愛着が湧く。
そんな感覚ですが、伝わるかな?w

良いも悪いも、経年変化で素敵になっていくこの空間が好きw

これは僕の価値観ですがw

まぁこうしとけば良かったなぁ〜って思うところはありますけど、それもまた楽し。
少しづつ、人に手で変化させていくのも、また楽しいですよね。


まとめ。
経年変化が好きなので少し熱く書きましたが、経年変化を好まない空間も理解できますし、いいと思います。
誤解のないように言っておくと、経年変化する建築が良い!って言ってるわけじゃなく、どちらも良いんじゃないかなって話です。

綺麗なままでいて欲しいって思う人も沢山いますし、その相談も受けます。
アドバイスも的確にできます。
だってこの道20年以上やってますからw

ただ少し残念に思う時は
〇〇さんがいいって言ってたから、、、
YouTubeで、これがいいって言ってた
とか、他人の考えで動くんじゃなく、インスタもピンタレストもYouTubeも、一つの情報として取り入れて、自分はどうしたいのかをしっかり考えてからじゃないと、あとあと『YouTube(Instagram)で言ってたけど、なんか違うな』なんて事もあります。

だって、投稿してる本人はそれがいいんだろうけど、万人に合うわけではないですしね。
なので、一つの情報として受け入れて、本当に自分達に合うのかをよく考えてから取り入れた方が後悔は少ないですね。
わからなければ建築会社に聞く。

話が脱線しそうなので、この辺でw

八村
2022.11.6
↓リンクツリー
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