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英語を使って働くということ

詳しくは上記の記事をご覧いただければと思いますが、現在私はAutomatticという米企業で働いています。

私は、生まれも育ちも日本、留学も含め海外での居住経験も一切ありません。ですので、10年前の自分には、米企業で直接働くなんてまったく想像のできなかったことです。

巷では、「これからの時代に英語は必須!」などと言われ、本屋に行けばおびただしい数の英語学習本があり、ネットでは、たくさんのハウツー記事に遭遇します。これらをフォローしていけばいくほど、まさに情報過多の波にやられてしまいそうな気がします。

私は英語のエキスパートでもなんでもなく、現に今でも仕事をしながら英語の実力不足を実感することばかりですので、どうしたら英語が使えるようになるかなどといった詳しい方法論をここで書かせてもらう気もなければ、書かせてもらうのもおこがましいと思っています。

この記事では、そんな自分が米企業で英語を使って仕事をするということにいたった過程、また、実際に英語100%の環境で働くことで変化した英語を学ぶということへの考え方について主に書いていきます。英語を使って仕事をしてみたいと思われている方、これからのために英語をできるようにならなくちゃいけないんじゃないかと何となく強迫観念にかられているような方などに、これからの人生にヒントに少しでもしていただけたら嬉しいです。

【学生時代】

前置きとして重要なところですが、学生時代から英語は比較的好きな教科であり、「大人になるまでまったく勉強しませんでした」と言うつもりは全くなく、むしろ中学から大学に到るまでそれなりにしっかりと勉強した"つもり"です。

"つもり"と強調するのにはわけがあります。その当時大学生だった私は、ある日街中で外国人に道を聞かれましたが、その瞬間頭が真っ白になり、ほぼ何も答えられなかったのです。この時のことは、今でも鮮明に思い出すことができます。今まで勉強していた英語というのは結局何だったのか?そんな思いだけが頭の中にこびりつきました。

そこから、英語を話せるようにならねばと思った私は、地元の国際交流センターにLanguage Partnerを探しに行きます。Language Partnerとは、お互いの言語を教えあう友達のようなもので、私が日本語を教える代わりに相手に英語を教えてもらうといった、そんな関係です。そこで何人かのアジア系の留学生と交流することから始まり、最後に今の妻と会うことになります。妻は台湾系カナダ人であり、幼い頃に台湾からカナダに移住しているので一般的に言うネイティブスピーカーです。

もちろん、彼女との出会いは自分の今にとってとてつもなく大きく、彼女と会ってから自然に英語で聴く・話すといった能力は伸びていきました。

ただ、ネイティブスピーカーのパートナーがいるからと言って、それがそのまま外国の企業で働くことにつながるといえばそうではなく、そこまでにはまた紆余曲折がありますが、それについては、もうちょっと後で書こうと思いますが、その前にちょっと脱線です。

【学生時代の英語学習は結局何だったのか?】

前章でも触れた通り、学生時代、英語はしっかり勉強していましたし、自分にとって得意な教科と言えるものでした。教科としての英語という意味では成績はよかったと思います。それでも、あの街中での悪夢のような経験をしてしまうわけです。

では、なぜこんなことが起こるのでしょうか?

もちろん、今現在の小中高大学の一般的な英語教育について詳しく知っているわけではなく、自分の頃とは多少異なっているはずなので、もちろん一概には言えませんし、あくまで以下は個人的な考えになります。

よく日本の英語教育は「読み書きにフォーカスしすぎ!」「実践練習が足りない」「聴く話すといった機会がほとんどない」などと言われますが、これは今思えばその通りだと思います。もし、その当時、もっともっとコミニュケーションにフォーカスした実践的な授業があったなら、私自身外国人に話しかけられフリーズするといった経験はしなかったかもしれません。ただ、私個人が思うもっと本質的な問題は、単純に日本で英語を使う必然性がほぼないということだと思います。それにより、学校での英語も他の教科のようにテスト・受験を乗り切るための暗記科目になり、テストのためだけに頑張って獲得した英語の知識はそれが使われる実践の場もなく、ただただ退化していきます。今もつくづく思う持論なのですが、結局何かを学ぶ時に大事なのは、自分がそれを今必要としているか、もしくは好きで学んでいるかということだと思います。この点が欠落していると、それは受動的な学びとなり、得るものは本当に限られてくるのだと思います。

とはいえ、学生時代の勉強が無駄だったかと言えば決してそうではなく、学生時代に得た基本的な文法知識やボキャブラリーは、より実践的な第二の英語人生をスタートする上で大きな基盤となってくれました。

【完全リモート米企業、Automatticに入社するまで】

話は戻り、大学生の頃に今の妻と出会った後、私は大学を卒業し、上京。出版社にてWebデザイナーとして1年働き、その後、Appleに転職をします。Appleでは直営店での在庫管理や店舗システムのトラブルシューティングなどを行っていたこともあり、英語を使うことは多々ありましたが、とはいえ英語を使うのは勤務時間のおおよそ10-20%ぐらいにとどまっていました。

そんな中、妻が、世界をパソコン一つで仕事をしながら世界一周をする、とある夫婦の動画​をたまたま見つけ、漠然とリモートワークというコンセプト・働き方に憧れを持つようになりました。そうこうしているうちに、前々職の時代からも積極的に使用し、自分のブログでも使用していたWordPressの創始者MattがCEOであるAutomatticという会社の存在を改めて意識するようになります。これは、WordPressを知っている人では結構あるあるだと思うのですが、WordPressを知っていてもAutomatticという会社は知らないという人は結構多い印象です。Automatticについて色々と調べているうちに、その文化、勤務体系などに惹かれた私はその1ヵ月後には無謀にもレジュメを作成し、応募をしていました。結果は、書類選考(スクリーニング)をクリアし、テキストでの面接は何回かできたものの、最終のトライアルに進むには至りませんでした。その当時の採用担当者には、WordPressを含めたWebに関するスキルセットが問題ではなく、英語に難ありと率直に言われました。ある程度は予想ができた結果だったものの、いざ落ちてみるとやはりショックでした。その後、2回目の挑戦で採用までに至りますが、そこまでの流れはこちらの別のnote記事をご覧いただければと思います。

【英語を使って働くということ】

2017年の冬に入社し、現在入社からおおよそ2年半という状況ですが、毎日英語という壁に毎日直面しながらも、今では社内の1つのチームのリードをするまでに至ることができています。

ここからは、生まれも育ちも日本、留学も含め海外での居住経験も一切ない自分がここまでの経験を経て、今思う英語を使って働くということにまつわるあれこれについて触れていきたいと思います。

英語100%の企業で働くのに必要な英語力

これについては、正解がないというのが今のところの私の持論です。というのも、言語能力というのは数値化するのが難しく一概に言える答えようがないからです。例えば、私は中学生の時に受けた英検を最後に、それ以降TOEICなどの英語の資格試験を受けていません。ですので、私の英語力はどのくらいと聞かれれば、「日々チャレンジングな状況にありながらも英語を使って毎日仕事をしている」ぐらいの英語力としか言いようがありません。

つまり、ここで私が伝えたいのは、数値にとらわれる必要は全くないということです。そして、もし自分が本当に働きたいと思ったところが英語が必要な職場ということであれば、まずは求人に応募してみることをオススメします。その時点でそこで働くに値しない英語力の場合はまず落とされますし、もし必要な英語力を満たしていれば合格する可能性がある。ただ、それだけなのです。十分な英語力をつけてからチャレンジするという考えもありますが、私はそれに疑問を持ちます。なぜなら、そもそも十分な英語力というのはとても曖昧なものだからです。当たって砕けろとはよく言ったものですが、今になってその意味がわかるような気がします。当たって砕けてみて、自分に何が足りないか、自分がどの位置にいるのかがわかるといったことは大いにあるのです。

完璧な英語である必要性

英語を使う仕事をするのに、完璧な英語は必要か。それはNoと言えるでしょう。もちろん、英語が流暢であることに越したことはありません。これは大前提です。ただ、それが必須条件ではないというのがポイントです。

世の中の仕事にはそれぞれその仕事に特に必要な能力というものがあると思います。簡単に言えば、歌手であれば例えば歌唱力・表現力などでしょう。例えば、日本人で日常英会話などまったくできない、けれども類稀なる歌唱力を持つ歌手が英語圏で成功ができないかといえば、決してそうではないと思います。それと同じで、もし今この記事を読んでくださっているあなたが、ある海外企業に入社したいとして、英語力に今の時点で自信がない、でも応募する職種についてのスキルセット、経験が十分にあるという状態だとします。その状態でもその企業に入社できる可能性は0では全くないと思います。さらに、入社ができた後も、むしろ自分の強みを生かし、社内でしっかり活躍できる可能性は大いにあると思います。

英語はあくまで言語という名のコミニュケーションツールです。ですので、その仕事の業務ができる程度の英語がベースにあれば、まずは何とかなる。私も現在英語を毎日使う仕事の環境の中で思うのは、評価される部分は英語ではなくあくまで仕事の結果です。つまり、英語能力が周りよりも多少劣っていたとしても、仕事で出す結果が十分なものであれば、多少拙い英語でもそこはあまり気にされません。これは、実際にこのような環境で働いてみて初めてわかった重要な点です。

そもそも色んな英語がある

妻は、「日本人は発音やミスを気にしすぎたり、ネイティブの英語でなきゃ英語でないと思いがちになってしまったりして、拙い英語でコミュニケーションを取ることに慣れていない」とよく言います。ちょっと前の自分もまさしくそうでした。

しかし、今、世界各国の同僚と働いていて思うことは、英語も日本語と同じ1つの言語であり、使われる場所、使い手によってその言い回しも発音も全く異なるということです。私たちが一般的にネイティブと呼ぶアメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリアなどの人々が話す英語だけが英語だけではありません。そして、そもそもこの例にあげた4ヶ国の中でも言い回しや発音は大きく異なります。日本語でも世代間でのギャップや方言があるのと同じです。ということは、目指すべき正解の英語があるというわけではないということです。結果として相手のことを理解できたり、自分の伝えたいことが正確に相手に伝わるのであれば、どのような言い回し、どのような発音でも最終的にはいいということになります。

この固定観念を実感のもとに消し去ることができたのも、今の仕事のおかげだと思っています。

【結局何をすれば英語力は伸びるのか?】

ここまで、色々と書かせていただきましたが、多分これを読んで下さっているみなさんが一番気になるトピックは、「結局何をすれば英語力は伸びるのか?」「英語を使って働くというレベルに達するまでどう英語力を伸ばしたか?」ということだと思います。

これに対し、現時点での私の結論は、「英語が必要な環境に自分を置く」ということだけです。必要にかられるということが、一番の上達方法だと信じています。自分の例で言えば、街で外人に話しかけられ恥ずかしい思いをして、Language Partnerとして今の妻に出会いました。そこで、まずその妻とコミニュケーションを取らなくてはいけないという第一の必要性に直面しました。そして、その後、Automatticに入りたいと決めた時に第二の必要性に直面します。さらに、現在は、毎日働きながら、同僚そしてユーザーと英語でコミニュケーションを取らなくてはいけないという第三の必要性に現在進行形で直面しています。こうして、必要性にかられていることで、徐々に、そして自然に英語力が伸びていると認識しています。逆に言えば、明日から今の仕事がなくなったとしたら、自分の英語力はどんどん退化していくでしょう。それは何だか悲しいですが、仕方がないことなのだと思います。

そして、必要にかられるということが何かを学ぶ上でなぜ重要かと言えば、私が思うに、何かの必要にかられている時、その勉強は必ずアウトプットありきの勉強(インプット)になるからです。例えば、英語を漠然と勉強していて、難しい単語を1つ覚えたとします。では、それは結局いつ使うのでしょうか?使われなければその単語はおそらく脳のどこかの片隅に追いやられ、いざ使いたいと思った時に取り出せなくなっていることでしょう。でも、人間が何かの必要にかられているときは、まず出口としてのアウトプットが前提としてあります。そのアウトプットのためにインプットをするので、しっかりそのインプットは自分の血肉となりやすいのだと思います。

となると、究極な事を言えば、多分英語が本当に必要でない限り、いくら勉強してもあまり伸びているという実感を持つのは難しいかと思いますし、そもそも英語が必要でないのであれば、そもそも勉強をする必要さえないんじゃないかと、今では思います。

私もふとすると、世の中の「これは身につけておけ!」みたいな声に惑わされそうになる時がありますが、そういったものには従わないように心がけています。というのも、そういったことに無理矢理トライしても、それが好きなことか、必要なことでない限り、すぐに挫折してしまうか、伸びずに無駄な時間を過ごしてしまうことが自分は多いからです。その時々で自然に興味が湧いたもの、もしくは生活の中で必要なものを自然に取り組んでいくことが一番なのではないでしょうか?

ということで、最後は若干脱線したように見えますが、英語で働くということは英語を身につけるという意味では一番効率的な方法なのではないかということに帰結します。今これを読んでくださっているあなたが目指している仕事にもし英語が必要であるのならば、ある程度自分自身で基礎的な勉強が済んだと思ったら、ぜひ今すぐにでも応募(トライ)してみてはどうでしょうか?もし、そこでチャンスを掴めれば、その仕事に順応しようと努力するだけであなたの英語力は自然に伸びるでしょう。また、もしその仕事が得られなかったとしても、その過程で気づくことはたくさんありますし、何度だってチャレンジができます。とにかく、仕事というリアルな場に足を踏み込む(もしくは踏み込もうとすること)で得られることはたくさんあるはずです。

ここまで読んでいただきありがとうございました。この記事が少しでも何かのヒントになってくれたら幸いです。

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