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「手編みのマフラー」 けっち

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Photo by Les Triconautes on Unsplash

デジタル・ネイティブということばがあるそうです。生まれたときからインターネットが当たり前の世代をいうそうで、たとえば赤ちゃんのころから動画をみて育ったとか、幼稚園でiPadを触るとか……。

僕がインターネットと出会ったのは大学生になったころで、ちょうど世界に「電脳世界」が広がりはじめたまさにデジタル革命のはじまりでした。その当時パソコンを手に入れた僕は「自分はインターネット世代だ」なんて思ったりしたものです。でも本当のインターネット世代ーーデジタル・ネイティブーーは、赤ちゃんのころからYouTubeをみている人なんですね。

僕は「手編みのマフラー」ということばを、どういうわけか「デジタル・ネイティブ」の対極として置きたくなります。それは論理的にはめちゃくちゃなわけですが、僕のなかで「デジタル・ネイティブに手編みのマフラーの温もりは伝わるんだろうか」と、ちょっと意地悪な偏見がある。

マフラー? 邪魔だよ、ヒートテック仕様のタートルネックでいいじゃないか。どうして手編み? 化学繊維のほうが熱を逃さないだろう? なんて。

手編みのマフラーを初めて僕に編んで贈ってくれたのは妻です。毎年この季節になると、タンスからマフラーをとりだします。一回つけはじめたら、冬のほぼすべての外出時に首に巻くマフラーはとても暖かいのですが、恥じらいもなく書いてしまうと、やっぱり「手編み」を意識して心があったかくなる。

「愛情」というのは見えないことが多いです。料理は愛情、という昔に流行したフレーズがありますが、なかなか料理の愛情を実際にみつけることは難しい。手編みのマフラーは網目があります。ひとつひとつ、地道な指と指を動かすことによって編み上げられていった単純な事実と、かけられた時間が形になっているのがわかる。

もちろんヒートテック仕様のタートルネックも風邪ひきたくないときに役立ちます。でもやはり冬はマフラー。それも、やっぱり手編みのマフラーがいい。くびから垂れるマフラーをむだにぶらぶらうごかすのもたのしいものです。今日もありがとうございます。


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