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フジツボの足まねきと、うららさん

(タイトル画像は倉谷うららさん監修フジツボガチャと、私が作ったシジミのチャーム。)

上司が私のリハビリを兼ねて簡単なベントスの検体を持って来てくれた。
そういえば最近フジツボやってないな、、付着やってないから。

フジツボは私が最初に分析修行した生物。ちょっと恋しくなったので、倉谷うららさんの著書『フジツボ〜魅惑の足まねき』を引っ張り出してきた。

この本には、そこかしこに可愛いイラストや画像、ステキな愛の言葉が散りばめられていて、しかもページの右下にはフジツボの変態パラパラ漫画まで描かれている。
中でも美しいのは英国ビクトリア朝や江戸時代に描かれた図譜、19世紀中頃の欧米で作られた煙草のおまけカード、西アフリカの切手。どれもフジツボがレトロな色彩で描かれていてうっとりする。

私の女性上司は付着生物学会かなにかでうららさんにお会いしたという。
とても可愛らしい女性で、やはりフジツボの手作り装飾品を身に付けていたらしいが、なんと学者さん達もうららさん手作りのフジツボのネクタイピンなどを自慢気に付けていたという。

私のフジツボ修行中のちょっと怖かった話。
フジツボの殻を開けるとしいたけのような形をした板があって、その形が分析ポイントだったりする。修行中は来る日も来る日もそればかり凝視していたので、ついに網膜に焼き付いてしまったのか、目をつぶると瞼の裏にそれが見えるようになってしまった。フジツボを見ている時も見ていない時も、『見えていない時がない』という、まったく気持ちが休まらない日々を過ごした。

フジツボは貝だと思っている人が多いようだけど、エビやカニの仲間です。そして食べるとかなり美味しいらしい。甲殻類特有の甘み、なにより出汁が濃厚だとか。一度食べてみたいと思っているが、うらら本に面白い話がある。要約すると、

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極上の魚介を焼いているお店があると聞き、その界隈を探していると、美味しそうな匂いが漂ってくる。看板もない店の建物の中に屋台の車が置いてある変わった店に入ろうとすると、店主が予約がないとダメだと言う。ふと店の奥に並んでいるケースにミネフジツボらしきかたまりが見えたので「あ、ミネフジツボ」とつぶやくと店主はびっくりして、「フジツボの名前を10種言えたら通してやろう」と言う。「えっと、チシマフジツボ、アカフジツボ・・」と急いで10種言うと店主は目を見開いて「入ってここに座れ!」と言い店内に通され、おいしいフジツボ料理にありつけた。
その後、この建物は取り壊されてしまったという。
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なんだかフジツボの妖怪にバカされたような話だけど、私も修行頑張った人なので一度くらいバカされてみたい。
私が実際によく見るフジツボは、

アカフジツボ、オオアカフジツボ、ココポーマアカフジツボ、ミネフジツボ、ヨーロッパフジツボ、アメリカフジツボ、シロスジフジツボ、タテジマフジツボ、イワフジツボ、サンカクフジツボ、チシマフジツボ、ドロフジツボ、クロフジツボ、アミメフジツボ、・・・等々

余裕で10種超えるね、よっしゃっ! 

倉谷うららさん

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