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自然界に戻さないで

私の小学生の頃の夏休みの思い出といえば、昆虫採集があります。私の出身地・兵庫県では、北海道とは違い、夏になると住宅街の公園や、家の裏山などの身近な場所で、セミがうるさいほど大合唱していたものでした。
このため、網と虫篭をもってセミ採りに行く、というのが本州の夏休みの子どもたちの一般的な遊びの一つであり、私もよくセミやバッタなどの昆虫を採って遊んでいたことを覚えています(今ではすっかり虫が苦手になってしまいましたが・・・)。

その中でも、特別な昆虫採集の思い出といえば、真夜中のカブトムシ採集です。普段ならすっかり寝ている時間に、眠たい目をこすりながら、真っ暗な山の中の道路沿いにある外灯の下を、カブトムシやクワガタムシが落ちていないか探して歩く、という体験は、昼間のセミ採りとは違い、子どもにとっては別世界に入り込んだような、不思議な感覚の体験として覚えています。

ところで、皆さんは「国内外来種」という言葉をご存じでしょうか?生態系の破壊や農業被害などを引き起こしている外来種問題については、何となくご存じかと思いますが、外来種は海外由来のもの(国外外来種)だけではないのです。
日本の中で、本来いなかった地域に、別の地域から人為的に持ち込まれ、野生化してしまった生き物も外来種に定義されます。

実は、この国内外来種の中で、三十年前までは、北海道に生息していなかったカブトムシが、現在では、ほぼ道内全域に分布するようになりました。
原因は、ペットの遺棄や、養殖場からの逸出が原因だと言われていますが、はっきりした経緯はまだわかっていません。道内全域に拡がり、これだけ数を増やしていることを考えると、単にペットの遺棄だけが原因ではなく、もっと別の可能性も考える必要性がありそうです。

夏になると、私も幾度と採集に出かけ、たくさんのカブトムシと採集者に出会いました。採集者は年齢層も幅広く、夏休みの子どもたちもいれば、大人で毎年、採集に来ている方、道内の他地域から採集に来ている方にも出会いました。採集者との会話を通じて分かったことは、他の外来種と異なり、カブトムシは大人にも子どもにも人気の生き物で、単に法律で規制したり、駆除すれば解決する問題ではない、ということです。今後、もっと柔軟に別のアプローチからの対策が求められると実感しました。

2005年に外来生物法が施行され、国外外来種については、その種の危険度に応じて、輸入や飼育などの規制がなされるようになり、徐々に対策が進んでいますが、国内外来種については、外来生物法の対象外であり、対策もあまりなされていません。

このため、北海道のカブトムシは、野外から捕まえてきて飼育しても法的には問題ないし、販売もされています。しかし、もともと北海道にいなかったカブトムシは、北海道在来のクワガタムシなどに悪影響を与えている可能性があります。
外来種問題の解決の方法の一つとして、一度飼育したカブトムシは、最後まで責任をもって飼うことが重要です。毎年、夏になると、カブトムシを採りに行かれる方は、北海道ではカブトムシは「外来種」である、ということを忘れないで、再び自然界に放さないようにしましょう。

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【飼育方法は以下の参考文献】

https://www.amazon.co.jp/-/en/%E5%93%80%E5%B7%9D-%E7%BF%94/dp/4893088645/ref=zg_bs_12870421_5/357-7494530-7411414?pd_rd_i=4893088645&psc=1







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