見出し画像

支援の波及効果が高いものとは?

過去に、あるご家庭にプライベートで関わったときのエピソードを紹介します。そのご家庭は、3人家族でした。20代前半のシングルマザーのお母さんと小学1年生の男の子、そして男の子の母方の祖母の3人家族でした。

私は男の子のおばあちゃんと、あるきっかけで知り合い、個人的に家庭の相談を受けるようになりました。その相談内容とは、シングルマザーの母が息子をネグレクトをしてしまい母親としてまったく男の子に向き合わないというものでした。

おばあちゃんは孫である男の子が可愛いし、娘も大切なのだと言っていました。お母さんの生育歴やそのとき、どんな問題を抱えていたのか?は口を閉ざし誰にも相談しようとしなかったため、私には分かりませんでしたが、お母さんは、何か心の問題を抱えているようには見えました。おばあちゃんは市の福祉課などを通して支援を訴え行政などの子どもに関する支援者が家庭訪問に来ていることも聞きました。

さて、ここで問題です。このご家庭の3名のうち、最も支援が必要なのは誰でしょうか?
私はお母さんだと思いました。しかし、行政の子どもの支援者を見ていると、子どもだけを何とか救うおう!子どもを支援しよう!と男の子の支援に最も力を入れました。
結果、どうなったかというと、お母さんは男性を新しく作り、ある日、男の子を置いて家を出て行きました。残されたおばあちゃんと男の子2人の生活が始まったのですが、おばあちゃんは高齢もあり、母親のネグレクトで愛情に飢え、情緒障害がひどくなり、男の子を支えきれなくなり、男の子は児童相談所を経由して施設へ保護されていきました。

家族3人がバラバラになったのです。おばあちゃんは、とても可愛がっていた孫もいなくなり、一人家に残されて泣き叫ぶ悲劇となりました。
もし、お母さんを中心に「大人の支援」をしていたら結果は違ったものになったかもしれません。お母さんの問題を解決してあげ、母として、一人の人間とし立ち直ることができるように支援してあげれたら男の子もおばあちゃんも、お母さんも3人が救われた可能性があると私は思いました。

あくまで可能性の話をしているのですが、私が「大人の支援」を重要視し、啓発しているのは、支援の「波及効果」が子どもの支援だけに向けるより効果が高い可能性があるからなのです。「大人の福祉は、子の福祉」だと私は思います。「子どもの貧困」支援が叫ばれますが、「子どもの貧困」は大人が貧困に陥っていなければ生じないものです。「大人の貧困」への冷たさ、大人は自己責任という世間の価値観が、「子どもの貧困」や「児童虐待」を引き起こしています。子どもが依存している大人側がしっかりと支えられる社会が、子どもも大人も同時に救われる社会だと私は思います。

※個人が特定されないよう、ストーリーを変えて書いていますが、伝えたい内容は変わりません。

虐待の被害当事者として、社会に虐待問題がなぜ起きるのか?また、大人になって虐待の後遺症(複雑性PTSD、解離性同一性障害、愛着障害など多数の精神障害)に苦しむ当事者が多い実態を世の中に啓発していきます!活動資金として、サポートして頂ければありがたいです!!