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わたしのやってきたことを舐めないでよ。


短い短いエッセイを書きました。
日記のようなものです。
どこか一日だけでもどうぞ。


年齢詐称疑惑

歩いて10分ほどのスーパーにキッチンカーが集うイベントがあるらしいと夫に教えてあげると、「行きたい…!」と前のめり。イベント前夜、夫は「明日はお祭りだねえ!」ととびきりキラキラした声でつぶやきながら布団に入っており、この人は本当に30代男性なんだろうか?わたしはもしかして小学生の男の子と暮らしているんじゃなかろうか?

たっぷり矛盾を抱えて過ごす

たのしんでやったらいいよ、力抜いてさ、それが一番いいものができるからさ、って思える日と、初めての著書なのだから、これから一生ついて回るし今後の活動に影響するものなのだから、もっとこってり悩んで苦しんで完成させるべきだよ、と思う日とがあって、どちらも間違っていないから、今日もたっぷり矛盾を抱えて生きている。

忘れられたお味噌汁

以前一度行って気に入った、見るからに料理が上手そうなおばあちゃんふたりでやっている定食屋に一人で入る。とんかつ定食を注文して、おいしいんだけど何か足りないなと思っていたら、来るはずの味噌汁が来ていない。周りのテーブルを見て気づいた。「味噌汁来てないのでください」と一言いえばいいのに、おばあちゃんが凄まじく忙しそうなのと、もう食事も終盤なのと、「すいません!」と声を出すのが億劫なのとで、わたしは味噌汁を飲まずに帰った。味噌汁一杯分運を貯めたぞ、と思いながら帰った。

母は変わった人

やっぱりうちの母親はかなり変わった人だなあと再認識して、「お母さんはだいぶ変わってるから」とポロっと言ったら、そのあとしばらく母が「母さんはどんなところが変わってるの…?」と気にして聞いてきて、変わってるっていうのは褒め言葉ではなかったな、とハッとした。


わたしのやってきたことを舐めないでよ

最近、詳しくは書けないけれど、ライターや校正の仕事を舐められていると思うできごとが起きて悲しい。そんなに簡単にできることだと思わないでほしい。日本語が書けるから、文章を書くのは嫌いじゃないから、家で働けて楽そうだからって気持ちで、初心者にいきなりできると思わないで欲しい。と、そのできごとが起きた瞬間思ったくせに、普段「ライターだなんてすごいね」と言われると「そんなことないですよ、資格もいらないし、文章が書ければ誰でもなれますから」とひょろひょろ返してしまう自分にも腹が立つ。書く仕事に就いて、泥臭く働いて、30代に入ったあたりでやっと、少しわかってきた。自分に何が足らないかも含めて、ようやく少し掴めてきたと思っている。それを、今日明日でいきなりできることだなんて思わないで欲しいし、誰よりわたしが思わないでよ。


エアコンのにおいが好き

梅雨を追い越して真夏がやってきて、部屋の中は30度近いことになっているし、さすがにエアコンを入れた。今年はまだクリーニングに来てもらっておらず、それを待ってからにしようと思っていたけど、そんなこと言ってられない。使い始めるとたちまち部屋がエアコンのにおいに。恥ずかしいのだけど、わたしは昔からエアコンの冷房のにおいが大好き。何度か人に話して、そのたびに変な目で見られてもう人に共感してもらうことはあきらめたけれど、好きなものは好き。なお、スイカのにおいが混じるとさらにいい。今年もいっぱい嗅ぎたい。


おわり

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