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チョコレート盗み食いの真実。


「最近noteでどんな記事書いてるの?」と夫が聞いてきたので、「この間は、夫にあげたバレンタインのチョコをこっそり食べたら、残り3つになったところでついに夫にバレてしまった話を書いたよ」と答えたところ、夫が「いやいや…」と呆れた顔をした。

「気づいてたよ。もっと前から、とっくに気づいてた」

へ!?

「だって、〇〇ちゃん(わたし)の好きなホワイトとかイチゴのチョコばっかりなくなっていくから。俺はホワイトやイチゴはそれほど好きじゃないし、だからホワイトとイチゴは〇〇ちゃんが全部食べるつもりなんだろうと思って、まあいいやと思ってスルーしてたけど、最後のほうになって、茶色いチョコレートまで減り始めたから、これはやばいと思って、『減ってる?』って聞いたの

は…!

てっきりバレていないと思いこんで、毎日夫が出勤したあとのモーニングルーティンに組み込んでこっそりチョコレートを食べる背徳感を味わっていたつもりが、わたしは泳がされていただけだった。嘘だろ…。

おどろいた。夫が意外とするどいことに。自分がこんなにもわかりやすいことに。

人の数だけ真実があるという言葉があるけれど、夫がもしこの話を書いていたら、まったく別のストーリーになっていたということになる。いかに自分の視点だけで物事を見ているかに気づいたと同時に、ときどき「本人たちだけが、浮気を周りに気づかれていないと勘違いしている」などという状況があるが、あれはこんな感じかもしれないなんて思う。

この件があった数日後、追い打ちをかけられるようなできごとがあった。夫が、「一口ちょうだい」をどう思う?というヤフーニュースを送って来て、こう言ったのである。

「俺、外食のときに〇〇ちゃん(わたし)がいっつも『一口ちょうだい』って言ってくるの、この人すごい欲張りだな~と思ってたんだよな。でもこの記事を見たら、配偶者に対して言うのは結構ふつうみたいだな。びっくりした」

この人すごい欲張りだな~。

今年始まっていちばんのパワーワードで、めまいがした。付き合っている頃から、この人なら言っていいだろうと思い「一口ちょうだい」を言い続けて十余年。そのたびに夫は、「この人すごい欲張りだな~」と思っていたらしい。なんてことだろう。仲良く料理をわけあっておいしさを共有しているほほえましい絵は、わたしが夫の料理を無理やり奪い取る絵に変わった。まるでルビンの壺。こんなにも見えていた風景が違ったのか。

さすがに反省した。反省して、「もう『一口ちょうだい』は言いません」と固く誓った。夫は大笑いしていた。


おわり

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