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君たちは(そうめんを)どう食べるか。
それは、まぬけな顔でくつろいでいた夜のことでした。「望月さん、お届けものです」。はて、心当たりがない。なんだろう。
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夫の実家からの贈り物、高級そうなそうめん(36把)でした。
わたしは、とても重要なことを夫の両親に隠して結婚をしてしまいました。
実は、わたしはそうめんをほとんど食べないのです。こんな大事なこと、本来は顔合わせのときに家族紹介と合わせて伝えるべきだったかもしれません。
子どものころ、夏休みの昼ごはんが毎日のようにそうめんでした。薬味がきらいな母はほぼそうめんとめんつゆだけを食卓に並べる人で、変わり映えしない味を毎日すすり続けていたら飽きてしまい、食事の内容を自分で決められるようになって以降は、そうめんはもう食べなくなりました。そうめんには何の罪もありません。
もう今さら言えない。グループLINEに[お父さん、お母さん、おいしそうなそうめんが届きました。うれしいです。これで暑い夏を乗り切りたいと思います😊]と送り、わたしはこれをいかにおいしく食べきるかを、この夏の自由研究のテーマにしようと決意しました。
わたしは今、問われています。
君たちは(そうめんを)どう食べるか。(昨日映画見た)
そして、わたしの「そうめんをおいしく食べるアレンジレシピ」を模索する日々が幕を開けました。
念のため伝えておきますが、※この記事に『君たちはどう生きるか』のネタバレは含みません。
まず考えたことは、味が変わり映えしないことが苦手意識の原因なのだから、味を大幅に変えてみればいいのではないか、ということです。
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ナポリタン味にしてみよう。茹でたそうめんを、ケチャップの海に飛び込ませ、ケチャップ色に染めていきます。
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しかしですね。なかなか染まらないんですね。パスタのように、積極的にソースと絡もうとしてくれない。
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麺を上げてみましたが、この通り。あまり赤くは染まりませんでした。これにはそうめんの矜持のようなものを感じます。
食べてみると、おいしいのはおいしい。けれど、そうめんのよさである喉ごしも、ナポリタンのよさであるまろやかなコクも、打ち消しあってしまいました。ひとつにはなれない関係です。むずかしい。
は!わたしは妙案を思いつきました。先日生春巻きをつくったときに使ったライスペーパーが余っているではないか。生春巻きの具にしちゃおう。春雨の代わりに、ビーフンの代わりに、うどんの代わりに、そうめんを入れてみよう!
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これはきっとそうめん自体の味も生きるはずだし、また生春巻きのじゃまをしてしまうこともないでしょう。早くも最適解にたどり着いてしまったかもしれません。
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とても自然な形で、まるで最初からこうなることが決まってたような顔で、そうめんがそこにいます。これはきっとおいしい。
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おいしい。たしかにおいしいし、スイートチリソースとの相性もわるくないし、生春巻きのじゃまもしていない。していないけれど、あまり仕事をしていない気もします。
そうか、生春巻きにすると、「すする」ことができないから、つるっと感がゼロになるのだ。うどんのようにもっちりしているわけでもないし。持ち味が、生かしきれていないのです。
わたしはナポリタンと生春巻きというふたつのメニュー、計3把のそうめんを食べた時点ですでに、「キンキンに冷やしためんつゆでずるずるとすするのが、もっともそうめんの持ち味を活かせるおいしい食べ方なのではないか?味が飽きるというのなら、薬味や一緒に食べるおかずなどを工夫すればよいのではないか?」という、この研究を行う意義をも揺るがすような思いを持ち始めてしまいました。すでにそうやって食べたくなっているのも事実です。
だけど、夏は長い。そうめんは、多い。あきらめるには、まだ早い。もうすこし、アレンジレシピを模索してみたいと思っています。また(気が向けば)研究の成果を披露させていただきます。
おわり
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