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なんでもエビマヨに換算する夫婦。


2023年12月23日。あの日を機に、わたしたち夫婦は変わった。

クリスマスを記念した食事を、とあるホテルの見晴らしのよい中華レストランですることにした我らは、ずっしり重いメニュー表を開いてたまげた。

お高い…。ひと皿1万円を超えるメニューもある。せいぜい2500円くらいだろうと思っていた大本命のエビマヨは4500円。ホテルの中華レストランをわたしたちは完全に舐め切っていた。これがぐるナイのゴチだとしたら、大誤算になるところだったなぁ。コースもあるが、エビマヨが入っていないのでそそられない。

今日は特別な、贅沢をしていい日。めかし込んで来たし、ここでケチるわけにはいかないと、食べたいものを頼んで、もちろんエビマヨも頼んで、「うまいうまい」「高い味がする」と言いながらいつもの2倍くらいよく噛んで堪能した。エビマヨはとてもおいしかった。ぶりんぶりんのエビが9匹(1匹当たり500円などと計算してしまう)、甘くてちょっと酸味のあるクリーミーなソースに絡みまくっている。大好き。重厚感のあるスプーンでソースも残さず掬って食べた。ちなみにわたしが6匹食べた。これが4500円のエビマヨなのだな。

その日から。

わたしたちは、なんでもエビマヨに換算するようになった。

エビマヨ5皿分のアウター、エビマヨ2皿分のお薬、エビマヨ2皿分の交通費、エビマヨ1皿分の飲み会、エビマヨ1皿分のサプリ…。なお、エビマヨ1皿を下回る場合は、匹になる。エビマヨ1匹分の昼ごはん、エビマヨ5匹分の土産…。世の中の多くのものはエビマヨに換算できると気づいたのだ。

そんな中、わたしは最近ほしいものができた。ダイソンのドライヤーである。髪の毛が伸びるにつれ日増しに大きくなっていくドライヤーのストレスを、なんとか減らせないものかと考えた。だって毎日20分はかかっている。

我が家は銀行口座はそれぞれ管理しているが家計はひとつにまとめており、なんとなく2万円くらいを超えるあたりから、相手に許可を取って買うような風土がある。ダイソン製ドライヤーとなるともちろんわたしの一存では買えない。夫も毎日使うものであるから、夫の同意が必要となってくる。

わたしは聞いた。「ドライヤーを買いたいと思っている。エビマヨおよそ10皿分です。どうでしょうか」。

すると夫は、「へええっ!?10皿分!?今ので十分なのに?どんなドライヤーだよ!」と、おどろきながら、なぜか爆笑している。

ダイソンのドライヤーで、めっちゃ早く乾くのだということを伝えると、「でも俺、何も困ってないしなあ。せめて、8皿分くらいにならないのか?」と、予想外の答えが返ってきた。値切れということか。天下のダイソン相手に、気弱日本代表のわたしが値切れるわけがない。ならば割引券を探そうと以前もらっていた家電屋さんの券を確認すると、1000円分。足りない。というか、夫の中のラインが8皿のところにあるのがじわじわおもしろい。

わたしが、どうしようかなあ…やっぱり高いかなあ…という顔をしていると、「じゃあ今度、お店に試しに行ってみるか。俺を説得してみせよ!」と持ちかけられた。

ということで。ドライヤーお試し体験により、エビマヨ追加2皿分の価値を見出してもらえるか、乞うご期待。



おわり(つづくかも)

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