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海外でのプレスリリースのお作法や効果をちょろっとリサーチしてみた

この記事は #PRLTアドベントカレンダー2022 の5日目にエントリーしています。

プレスリリースのあり方は万国共通なのか?

広報PR職に従事していると切っても切れない「プレスリリース」。今年の10月に、そんなプレスリリースにまつわるニュースを目にしました。

PR TIMES社が10月13日に米国子会社を設立をし、米国進出を目指すと発表したのです。

興味深いのはここからで、同日に公開されたIR資料や代表である山口さんのFacebookには、米国プレスリリース関連企業のM&Aに失敗し、継続的に米国進出をチャレンジすべく子会社を設立したとの報告がありました。

PR TIMES社 2022年度 第2四半期決算説明資料より

PR TIMES社の本気度を感じたと同時に、アメリカ進出難航しているのか → アメリカではプレスリリースってどのくらい重要な役割を果たしているんだろう?という疑問がふつふつと浮かびました。

日本での広報PR活動で、プレスリリースはめちゃめちゃ重きを置かれていますよね。一般生活者もプレスリリースが一次情報となることは当たり前になりつつあるし、最近は社員みんなでプレスリリースを拡散する企業も少なくないはずです。

ところが、たとえばPR協会が主催するPRアワードの受賞エントリを見ると、「プレスリリースがこうよかった」「プレスリリースでこんな工夫をした」といった各論に触れられることはありません。Ubieも2020年にブロンズを受賞しましたが、たしかにエントリーシートでそういったことは言及しませんでした。

結局のところ、プレスリリースは「知ってもらう」ためのHowのひとつ、はじめの一歩でしかありません。それでも、プレスリリース講座は日々至るところで開催されているし、ついにプレスリリースエバンジェリストも誕生するし……と実務レベルにおいてはその重要性が増しています。

こうしたプレスリリースのあり方は海外でも同じなのだろうか?Ubieもグローバルに発信する機会が増えてきているので、アウトバウンドとインバウンドそれぞれの観点でさくっと(30分程度で)調べてみました。

プレスリリースは日本以上に公式文書として重宝されていそう

まずは海外でのプレスリリースを通じたアウトバウンドについて。結論から言うと、プレスリリースは重視されるし、なんなら日本以上にオフィシャルなものとされているようです

中国でのプレスリリース

記者会見を開催し来場してもらった場合でも、結局プレスリリースをほぼコピペしたものが記事化されることが多いそう。そのため、自己賞讃的に書いたり、中国社会にどのようなメリットをもたらすか、などのアングルを書いておくと喜ばれるとのことです。

米国でのプレスリリース

もはやプレスリリース配信サービスの活用が必須のようです。というのも、アメリカの証券取引委員会が定めた情報開示規則により、アメリカの主要な報道機関は、送信者の信頼性を最重要ととらえ、広報通信社のプレスリリースを経由したものしか受け取らないところも増えているそう。

なるほど、アメリカではプレスリリース配信サービスが、もはや広報活動におけるインフラになっているのか……と悟りました。

シンガポールでのプレスリリース

これはUbieでの手法ですが、グローバル対応のプレスリリース配信サービスを活用したり、現地在住のメンバーが現地メディアに投げ込んだりしました。わりとすぐに数件のメディア掲載や取材につながったので、日本と大きな違いはなさそうです。

ちなみに、取材したいと連絡いただいたメディアもあれば、エゴサで記事化されていることを知ったものもありました。

エジプトでのプレスリリース

PR仲間の青柳さんがエジプト在住なので簡単に聞いてみました。エジプト全体ではないが、グローバル企業は(世界標準的な意味で)普通にプレスリリースを出すそうです。ただ、決まったフォーマットやお作法とかはなさそうで、日本ほど丁寧なものはないとのこと。

実際に彼女が関わっているアート系イベントのプレスキットを見せていただきましたが、プレスリリースはアラビア語版、英語版がそれぞれ用意されていました

おまけ

細かなテクニックやHowでいうと、こちらのブログが大変参考になりそうです。

  • ローカルネタに解説を入れる

  • コンパクト重視、情報羅列は不要

  • フォントは「Verdana」か「Helvetica」

「1枚に収まる程度にしよう」はいろんな記事に書いてあったので、まじで重要そう。近年の国内のプレスリリースは大作だな……と思えるボリュームのものが多いので、この辺は意識していきたいですね。

海外メディアは国を問わず著名媒体をウォッチしてそう

では、海外メディアからの問い合わせ経路はどんな感じでしょうか。プレスリリースはちゃんと届いているのか……?ざっと調べてもあんま出てこなかったので、Ubieでの出来事をまとめます。

Ubieではグローバルのコーポレートサイトがあり、英語のニュースはそこで出しています。実際にあった取材経路はこんな感じです。

Facebookページのメッセージ

2020年のシリーズBでの資金調達プレスリリース後に「地元のライターがUbieのプレスリリースを見つけたので、資金調達特集に入れたい。話を聞かせてもらえないか」と編集部から連絡をいただきました。

それ以来、内容に応じてFBページやLKなどでのお知らせは日本語と英語で投稿するようにしています。 ※LKは海外人材の採用が主目的

コーポレートサイトの問い合わせページ

「この媒体(海外メディア)の記事をみたんだけど」「資金調達のニュースを見て」と取材依頼が来たことはあります。日本語コーポレートサイトの問い合わせページ経由でメールをいただくことが多いです。丁寧…!

意外だったのは「日本経済新聞の資金調達額ランキングを見て」と取材依頼がきたことです(アジア金融系メディア)。国内著名媒体への露出も経路になるのか、という発見がありました。

ちなみに、グローバルにプレスリリースを出す前に連絡がきたこともあります。2020年に共同代表の阿部がForbes under 30 asiaに選出されたときです。「受賞候補に入っているので詳細を……」と連絡がきました。これについては推察ですが、Forbes JapanでNext U30に掲載されたことがあったため、編集部内で共有等があったのかな。

その他、グローバルに資金調達プレスリリースを配信するようになってから、海外メディアからサーベイ依頼などが毎年一定くるようになりました。毎回現地時間だと締め切りはいつだ?!サマータイムは考慮されるのか?!とパニックになりながら対応しています。

まとめ

プレスリリースは世界共通でステークホルダーに情報を届ける重要なHowのひとつです。語源に立ち返ったら当たり前ですね。ただ、日本では若干カジュアル化しつつありますが、他国では日本以上にオフィシャルな文章として機能しているようです。

問い合わせ経路も電話がないくらいで、国での大きな差はないように思います。サーベイで聞かれること自体も経済系媒体であれば概ね大差ありません。

いろいろ書きましたが、あくまで日本→海外の視点しか調べきれていません。現地企業の現地での広報活動だと変わるのかな。分かり手の人教えてください。

出典・参考

PRAP JAPAN海外事業ブログ「中国の記者発表会事情」
https://www.prap.co.jp/global_blog/2019/p-70/

東京商工会議所「ワイヤーサービスとは」
https://www.tokyo-cci.or.jp/market/press_support/guide/page6/

businesswire「ニュースワイヤーを活用すべき理由:財務情報の開示におけるプレスリリースルール」
https://blog.businesswire.com/ja/series-part-5-why-should-you-use-a-newswire-to-distribute-your-news-release-financial-disclosure





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