見出し画像

下腿のねじれを修正

こんにちは。


本日は膝の障害に対する考え方を共有したいと思います。

考えたいテーマは「下腿の過外旋」についてです。






内容に入る前に少しだけ考えてみましょう。



・下腿の過外旋とは、どんな状態ですか?

・下腿が過外旋すると、どんな症状が生じる可能性がありますか?

・下腿の過外旋はどのように評価しますか?

・下腿の過外旋をどうやって治療しますか?










下腿の過外旋とは、読んで字の如く、大腿骨に対して下腿(主に脛骨)が過度に外側に回旋している状態です。


大きく2パターンが考えられます。

①大腿骨が内旋して下腿は外旋しているタイプ

②大腿骨に対して下腿が過度に外旋しているタイプ



下腿の過外旋によって生うる症状や障害は、一般的に以下が考えられます。
・痛み
・可動域制限
・膝、股関節、足の筋力低下
・歩行・動作障害




この中で、痛みに少しだけフォーカスしてみます。




下腿の過外旋によって起きる痛みは色々考えられると思います。

1番考えやすいのは伸張ストレスでしょうか。


下腿が過外旋しているので、内側の組織が伸張されていることは想像しやすいと思います。


また、伸張された組織の周囲で組織同士の摩擦ストレスが生じたり、絞扼性障害が生じる可能性も考えられますね。



周辺組織の位置関係やバイオメカニクスについては今回詳しく説明しませんが、これらを知っておくことで痛みを生じる組織や原因の予測がしやすくなると思います。







そして考慮すべき大切なことは、下腿が過外旋していても何一つ困らない人がいることです。



下腿が過外旋していても痛みも可動域制限も筋力低下もない、それなりに高いパフォーマンスを発揮できている人も存在します。




上記を踏まえて、下腿の過外旋をどのように捉えるかがポイントだと思います。




・下腿が過外旋していても何一つ障害ないのであれば、運動療法や徒手療法などの治療は必要ですか?


・下腿が過外旋していても動作のエラーなくハイパフォーマンスが発揮できていれば、それに対するエクササイズは必要ですか?


・上記のような障害が生じる可能性を考慮して、予防のためにあらかじめエクササイズや治療しておいた方がよいでしょうか?


ケースバイケースですが、上記のようなことを考えた上で目の前のクライアントさんにアプローチすべきだと思います。



ちなみに私なら、下腿過外旋と症状の因果関係があるなら治療しますし、症状がなくても起こりうる障害の可能性を伝えた上で、どう対処すべきかクライアントさんと一緒に考えて結論を出すようにしています。



さて、そもそもなぜ下腿が過外旋するのでしょうか。



その原因や理論はいろんな考え方があるので、ここではあえて触れません。



多くの書籍や文献では、下腿過外旋の原因は膝以外の部位の機能障害が関与しているという見解があり、私もそちらを支持しています。


個人的な意見になりますが、私ならプラスして以下の2つの視点で他部位の影響を考えるようにしています。


①運動連鎖的な視点

②筋膜連結的な視点


今後、上記の考え方も共有しますね。





さて、下腿外旋の評価方法ですが、下腿外旋については他の関節可動域のような定義がないため、定量的な評価は難しいですね。


下腿外旋の定量的な評価にに関する論文も出されていますが、、これだ!!といった定義や評価が確立するはまだまだ時間がかかるでしょうか。


私自身も下腿外旋については質的、相対的な方法でしか評価できていないのが現状です。




その中で、1つだけ下腿外旋の評価方法を紹介します。


膝蓋骨の位置と脛骨粗面の位置から判断する方法です。


画像はVisible Bodyより引用



膝蓋骨の左右両端から下におろした線(ピンク色)の中に脛骨粗面(黄色)がおさまっていれば正常


ピンクの線と脛骨粗面が重なっていれば外旋傾向



最後に、下腿過外旋によって膝に痛みが生じている人への評価から治療、セルフエクササイズの簡単なアイデアをご紹介します。



5分くらいでできるので、試してみてください。



まず、痛みが出る動作をチェックしておきます。


次に、先程の下腿外旋位の評価をしておきましょう。


ここでは、下腿の外旋傾向があるなー、外旋が痛みと関与してるかもなーと、考察するためにこの評価を使います。

続いて、試験治療を行います。



下腿が外旋方向へ位置異常が生じていると捉えて、内旋方向へ位置を修正します。



痛い方の脚を椅子の上に乗せて足部を内側に向け、セラピストまたは本人の手で脛骨を更に内側へねじります。




この状態で、クライアントさんに膝を屈伸してもらいます。


左図 脚を台や椅子に乗せて両手で脛骨をつかむ
右図 両手で脛骨を軽く内側へひねって屈伸する


ようは、脛骨をしっかり内旋位にする、ということです。



6〜10回、痛みが出ないことを確認しながらゆっくり行なってみましょう。



膝は出来るだけ深く曲げます。


運動中に痛みが出る場合は、足の向きや脛骨をねじる方向や強さを調整し、痛みが出ないように工夫してください(ここが少し難しいかも!)。



6〜10回終えたら、もう一度痛みが出る動作を行い、痛みの変化をチェックします。


これで痛みが改善していれば、効果ありです!

6〜10回×3セット治療を行い、もう一度痛みをチェックします。


最後にはセルフエクササイズを指導しておきましょう。



いかがでしょうか。


簡単な修正方法なので、まずはご自身で試した上でクライアントさんにも提案してみてください。



今日はここまで。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?