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自分が抱える生きづらさは、社会のバグかもしれない

就活生だった自分に今の私が何かを伝えるなら「就職活動はこれがスタートで、これからずっと続くよ」ということかもしれません。

当時は就職する会社が決まること=就活のゴールだったけれど、社会人になってからも、私は常に進路に悩み続けています。

新卒で入った広告会社で中部支社勤務になった時は、どうやったら東京の希望部署に配属されるか考え続けたし、希望部署に配属された後は自分に広告の才能が無いことに打ちのめされながら、また別の部署に憧れていました。

2年目でベンチャー企業に転職してからは、ルールが全く違う会社での立ち回りや副業との両立、独立してからは仕事の方針や理想とのギャップ、出産してからは子育てとの両立…常に何かしら課題があって、完全に解き放たれることはありません。いつだって、ここではないどこかを望み続けていて、満たされることなどないのです。

でも仕事というのは社会人にとって生き方そのものだから、悩むことは当たり前で、むしろ悩まなくなることは前進を止めることともいえます。

悩みながらも進みたい時、どうするかというと、私は、同じように苦しみながら進んでいる誰かの声を聞くようにしています。そうすると、自分の人生に活用できる知恵が見つかり、勇気を貰えて「私も自分のレースを頑張ろう」と思えるのです。

広告クリエイターの澤田さんは、広告会社時代から憧れていた先輩の一人でした。澤田さんは、私がクリエイティブ局に配属された時、すでに広告賞をいくつもとり、新人研修を任され、業界誌にコラムを書く、名の通った先輩で、注目度の高い作品をたくさん世の中に出していました。

営業経験を生かして、自主プレからクライアントを獲得してくるなど、従来のクリエイティブ職のイメージにとらわれない働き方の実践者でもあり、席にいるのをほぼ見たことがないほど、忙しそうに飛び回っていた澤田さんは、クリエイティブ1年目で、コピーが書けないどころか、打ち合わせで出てくる言葉の意味すらわからない私にとって、とても眩しく、挫折知らずのスーパーマンに見えました。

私が広告会社からベンチャー企業に転職したのは2011年ですが、その2年後の2013年、澤田さんは生まれたばかりの息子さんに先天性の視覚障害があることを知ります。それをきっかけに、仕事が全く手に着かなくなってしまったそうです。

「父親がCMをつくったところで、視覚障害のある息子は見れないじゃん」と、仕事へのやる気を失ったまま、日々手探りで希望を探していたある日、澤田さんは、片手で使えるライター曲がるストローが障害のある人のために発明されたことを知ります。

そして、弱者のための発明が、障害者・健常者関係なく社会のためになることに励まされ「できないことは無理に克服しなくていい。社会のほうを変えればいい」という考えに至り、広告の手法で社会を変える活動に着手します。

この本は、その軌跡と活動の背景にある想いが丁寧かつ具体的に綴られた本です。

本から得るメッセージは、人それぞれだと思いますが、私は「他人を幸せにするためにではなく、自分が幸せになるために仕事をしていい」というメッセージを受け取った気がします。

私は「"自分"を仕事にする生き方」という本の中に、仕事=世界を自分にとって住みやすい場所に変えることだと書きました。

「半径5メートルの野望」という本でも、世界は変えられなくても、半径5メートルをひとりひとりが変えることが、大きな変化になっていくと書きました。

この本の中にも「世界は一度には変えられない。だから一度ずつ変えていく」という言葉が書かれています。一人一人の貢献が、未来を確実に昨日よりも良いものにしているのです。

変わる社会に振り落とされないためには、変化にただ流されるのではなく、変化を作る側になる必要があるかもしれません。

ひとりひとりにその力があることを、この本がきっと教えてくれます。


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