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(56)きみの人生に作戦名を。

【なぜ最初の1歩が踏み出せないのか】

やりたいことや、得意なことを答えられないことと、やりたいことや得意なことがないことを、分けて考えることである。
このすべきことが多く、時間にも心にも余裕がなくなることで、自分のやりたいことに意識が向かわなくなってしまった結果に過ぎないからである。

【思考と行動は言葉で接続される】

なぜ、習慣の習慣化ができないのか。
いくつかの理由があると思うが、本書で注目したいのが「言葉の不在」である。
「やろう」と思って行動を起こすものの瞬間的に思ったり感じたりしている状態であるため行動を起こした。
その瞬間と同じ気持ちになることができず行動が続かない。つまり習慣化されないのだ。

【言葉の解像度と活動の解像度は比例する】


例えば「社会インフラとして、世界の発展とより良い暮らしに貢献する」「イノベーションを生み出し生活をアップデートする」といった類の言葉である。
違いはあれど、このようなビジョンやミッションを掲げている企業は驚くほど多い。
検討に検討を重ねることによって、企業の特徴や特色と言う尖った部分が丸くなっていき、結果的に一般論に帰着する。
こうした現象を私は「一般論化の罠」と呼んでおり、高度な議論が繰り返されることによって、いつの間にか当たり前のことを高らかに宣言するような言葉が生まれてしまうのだ。
重要な言葉を決めようとすればするほど一般論化の罠にはまりやすい。その入り口に立っていると認識した際には、その罠から逃れるべく、議論の方向性を修正する必要がある。

私が優れたメッセージを発信していると考える企業の1つにユニクロがある。ユニクロは日本のみならず、世界に向けてベーシックカジュアルを提供するアパレル企業である。「Life Wear」という英字を先行して用いたが、2021年から「ふだん着の日が、人生になる。」という日本語のメッセージを打ち出している。

【何をしているかわからない人たちは何をしているのか】

「自分が何をやっているのか」「どんな活動しているのか」「何のためにその活動しているのか」の解像度を上げていく事は、結果的に「自分は何のために人生を使うのか」「どんなことを成し遂げたいのか」に直結する。

【作戦名のもとに仲間は集う】

作戦名を持つことには、自分の行動を先鋭化するだけではない効果がある。
明確な作戦名があることで仲間を集めることができるのだ。
では、何が周囲の人々を魅了し、協力したい気持ちを駆り立てていくのだろうか。その前提になるのが、自らの行動である。どんなに志の高いことを言っても、活動量が足りない人から本気度を感じる事はなく、他者の主体性を引き出すことができない。
その次に重要になるのが言葉である。
どれだけ必死になって行動を起こしていたとしても、その行動を実際に見ることができる範囲は限られている。
仮に懸命に行動していることがわかったとしても、なぜそこまで必死になっているのか、何がそこまで駆り立てているのか、そして、何を目指してるのかは、言葉を介して語り合わなければ伝わりにくい。
行動の真意を言葉で補足することで行動の意味や意義を説明できることが重要になる。自分の中にある「Why」とも言える原動力や実現したい。
未来を言語化して伝える。1時間あっても語り尽くせないようなことを15秒で伝える。体を含んだ作戦名にする事は吸収力を高めるために効果的である。

【価値を再整理する】

より端的に表現すれば「物ゴト」「自分ゴト」「社会ゴト」と言い換えることもできる。マーケティングに限らず、自分が起こしていく行動についても、価値を3階層で捉えられるようになれば、あらゆる行動の解像度を上げることが可能となる。
価値の3階層は、9マス思考法によって浮かび上がってきた要素を「これから自分が何をするのか、やってきたいのか」「それによってどんな良いことがあるのか」「社会的にどんな役割を果たし得るのか」に分解することで考えを深める方法である。9マス思考法に取り組んだからこそ見えてきた情報を中心に据えて、価値の3階層で改造度を高めることに意味がある。そしてその全てを作戦名に落とし込んでいくのである。

何ができるのかどのように役に立つのか、社会的にどんな役割を果たすのか。このように整理することで、情報は明確になる。価値を3階層に再整理していくと、ブランドの活かし方を解像度高く把握できるようになる。


【作戦名へと昇華させる「ネーミング」】

いい作戦名の基準は、心の底から納得できること以外に存在せず、その言葉があることで自分を鼓舞し続けることができるかに集約される。
そのためにも、自分を知る、自分の価値を知る、自分の作戦名に名前をつける、と言う順番を大事にしたい。

9マス思考法で取り組む
①振り返る
小さな勇気を振り絞った経験を大事にする。
より、具体的に言語化するならば、以下のような基準になる。
・誰かから反対されたのに、自分の意見を押し切って実行したこと
・誰かから依頼されたわけでもないのに、熱中していたことと没頭していたこと
・自分からしかそれに興味を持っておらず、疎外感や孤独を感じていたこと
②思いを馳せる
③自分軸を見出し、再整理する
④作戦名へと昇華させる

【納得感は無風を超える力になる】

無風を超え、自ら風を起こす。
「世の中はこうあったほうがいいと思う」「自分がこの活動を行うことで助かる人がいるはずだ」「自分がやらずに誰がやるのか」といった心の奥底にある優しさを倍増させ、行動として結晶化させる。作戦名にらそのような力が秘められているのだ。

【批評家から実践者へ】

行動を起こしている人は、自分のことに集中しているため、人の目など気にならない。
起業や創業している人の様子を見ていると人の目を気にする余裕などないと言ったほうが正しいかもしれない。
1番遠くを見据えながら1番近くの目の前のことに没頭している。先に述べた超長期と超短期の話にも通じるだろう。




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