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新春の景色は列車から(part7)[2022.1 北海道&東日本パス⑩終]


食事で体内を温めてから、いざ極寒の地へ飛び出す。
先ほどより雪の勢いが強まっており、極寒どころか”猛寒”といったところだ。すべては真冬に相応しくない服に原因があるのだが。

路面も数cmの雪で覆われており、反射する光で眩しいほどだ。土浦駅前のロータリーを走る車やバスは揃って慎重に走っている。
それは鉄道も同様であり、徐行運転をしているために、数分の遅れをもって運転しているというアナウンスが駅に近づくにつれ聞こえてきた。
どうやら、土浦を始発とする列車は折り返し時間を短くしてなんとか遅れることなく出発してくれるらしい。私が乗る次なる列車はその類であるから、ほっとして白い息をゆっくりと吐いた。

その乗車する列車は「特別快速」である。次期ダイヤ改正によって、消えはしないが大幅に減便されるため、ついでに乗っておこうという策略だ。
この列車は土浦を出ると、途中の取手とりでまでは各駅に停車するが、そこからは爆走ぶりを発揮して、かしわ松戸まつど北千住きたせんじゅ日暮里にっぽり上野うえの東京とうきょう品川しながわという通過駅多めの種別となっている。
その”速さ”を堪能するべく乗りに来たわけだが、この大雪でいかんなく速度を出してくれるのかは神のみぞ知るといったところか。

電車の屋根もホームの縁も雪に覆われだした頃合いに発車した。ここからは暖かい車内で雪見旅行である。
まずは、通常どおり快調に走行をはじめるが、雪の勢いが一段と増したように思える。速度が上がったせいだと最初は思っていたが、車窓から見える家々の屋根を見れば、積雪量が先ほどとは段違いだったため、やはりそのようである。近年の電車は紫外線対策を施したガラスをはめているから、そのおかげで目を細めることなく楽しめるのは非常にありがたい。

昼食を摂ったばかりでうつらうつらとしてしまう場面もあったが、それは短時間で解消をした。ちょうど目が覚めたら、牛久うしくに到着。大仏様も寒さに悶えているところだろうか。
ちなみに、言うのが遅くなってしまったが、車内には乗客は乗っていないに等しいぐらいの乗車率である。

首都圏の鉄道はとことん雪に弱いが、年に1回降るか降らないかの気象に対して大掛かりな投資をするのは極めて不適当だと私は考えている。だから仕方のないことだ。
この列車も実際に遅れ始めて、車輪が滑ったりモーターも空回りして尋常でない音を発したりもする。

しかし、千葉県に入ってさらに都心へと足を踏み入れていくと、豪雪が大雪に変わった程度だが、遅れることなく順調に進んでいった。乗り込んでくる人々はみな耳が赤くなってしまっており、乗ってしばらくすると鼻をすする音が聞こえるようになる。それだけ寒いということだ。

結局、雪は止むことなく終着の品川に着いた。
ホームに入ってきたり、出てきたりする電車の前面はどれも雪を纏っている。なかなか東京都区内でこのような雪景色は見られないから、しばらくの間、雪と鉄道を交えた写真を撮りまくった。

このあとは日光方面へ行こうとしたが、すでに雪でダイヤ乱れが酷くなりかけている。このままの流れでいってしまうと、帰れないという非常事態になりかねない。
仕事の早退き命令が出たのかどうかは全く分からないが、まだ16時台というのにラッシュが始まりつつある。このことも影響して、ここで切りあげることにした。
久々の日光線を楽しみにしていた身としては、大変に残念ではある。しかし、また楽しみができたとポジティブに捉えることとしよう。

雪見をしすぎて、帰りは満員電車に揉まれてしまった、そんな旅の終わりだった。

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