SEQUENCED VERSES
はじめに
【 人材育成 】はどの会社にとっても、重要な課題だと思います。社員がどんな人物に育つかが、会社の命運を分けると言っても過言ではないでしょう。
たとえば『商品』であれば、ターゲット層やデザイン、制作工程さえ決まってしまえば『同じもの』を作れます。工場のライン生産だけでなく、ネットサービスなんかも『型通り』になっています。
しかし、【 人材育成 】となるとそうはいきません。商品を作るような感覚では『人』の育成を行うことはできません。商品開発のノウハウは『まったく通用しない』と言ってもいいと思います。それほど『人』とは多様なものであり、文字通り千差万別だからです。
人を評価するとき、『能力』と『人格』の2つの指針があります。
『能力』は数値化しやすいので比較的育成しやすいものです。能力が伸びるか伸びないかまでは分かりませんが、数値化により『見える化』ができるからです。
反対に『人格』は数値化しづらいものです。ですので『見える化』ができません。おそらくどの会社も『人格』の育成が一番難しい課題になっているのではないでしょうか。『見える化』ができないがゆえに、育っているかが分からないからです。そして、人格は【 統一できないもの・統一してはならないもの 】です。同じ人格の人間が10人もいれば、それこそ『不気味』でしかありません。
会社の理想は【 能力が成長していくにしたがって、人格も成長していく 】ことだと思います。ただ、『言うは易し、行うは難し』でなかなかそうはいきません。それが簡単にいくなら育成講座やセミナー、各フレームワーク、ビジネス書などは必要ありませんから。
今回は、いろんなモデルがある中で『この組み合わせを使うと人を育てやすい』と思うものを選んできました。
最終的な目標地点は自立型組織の『ティール組織』です。「なぜ、それを選んだのか?」と聞かれると、単純に「自分が好きだから」と答えるしかないのですが、そこに到達するまでの過程で、他のモデルを使うことにより人格の成長を促すことにもなると考えています。
少し話は逸れますが、誰もが子供の頃に『自転車の乗り方』を練習したと思います。何度も何度もこけましたね。そして、何度もこけながら少しづつ乗れるようになっていきました。
では、自転車の練習で何度もこけてしまうのはなぜなのか?
実は自転車の練習のとき、【 2つの作業を同時 】に行っています。それは、
バランスをとる
ペダルをこぐ
この2つの作業を同時に行っているんですね。そして、人は2つの作業を同時にやることは【 できません 】。では、なぜできるようになる(乗れるようになる)のか。
脳科学的に言うならば、小脳が手足のなめらかな動きや体のバランスをとるための筋肉の無意識の動きをコントロールし-おっと、私は専門家ではありませんでした。詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。先に断っておきますが『自転車の乗り方』が載っているわけではありません。念のため。
さて、なぜできるようになる(乗れるようになる)のか? でしたね。
それは【 練習したから 】だと思います。(キッパリ)
いやでも、間違いではないですよ。それくらい【 練習 】は大事なんです。
ちょっとだけ付け加えるなら、『自転車の乗り方』では2つの作業を同時に行うから、何度もこけていたのです。ですので、
最初は『1. バランスをとるだけ』
バランスが取れてきたら『2. ペダルをこぐ』
この順番で教えてみてください。びっくりするくらいすぐに乗れるようになります。何度もこけていたのは、2つの作業を『同時に行う』からです。それなら1つ1つ『順番に行う』ように教えればいいだけなのです。
いや、ホントにすぐに乗れるようになりますよ。
さて、前置きはこのくらいにして、そろそろ本題にいきましょう。【 練習 】は子供だけがやるものではありません。大人になり社会に出てからもやるものです。1つ1つ『順番』に見ていってください。
1. SECI model
【 百聞は一見に如かず 】
参考サイト
『SECIモデル』は知っている方も多いと思います。有名ですね。これは経営学者である野中郁次郎氏が提唱したものです。
あくまで私個人の経験則からですが、SECIモデルは大人だけではなく、子供(学生)も含めた『教育』にも使えるものだと考えています。あらゆる教える場面で、【 最強のモデル 】なんじゃないかなと思います。ここでそう言ってしまうと「じゃあ、あとの2つは一体なんなんだ」ってことにもなりますが、このモデルが最強だと思うのは『教える場面』での話です。
『気づかい』や『全体の稼働』については他のモデルの方が優れていると考えていますので、後ほど紹介します。ではいきましょう。
先ず、このモデルには「形式知」と「暗黙知」の2つの知識が出てきます。
・形式知...文章化(言語化)できるもの
・暗黙知...文章化(言語化)できないもの
【 形式知 】で分かりやすいのは『ペーパーテスト』です。紙に正解を書いていき、正しいと○がもらえるあれです。身体で動かすのは『手』くらいで、ほとんどは『頭の中』を動かします。
『説明書』もそうですね。言語化されたものを覚えたり書いたりして、知識を『頭の中』に入れていきます。
【 暗黙知 】で分かりやすいのは運転免許を取るときの、実車試験(運転技能検査)でしょう。実際に手足を動かし、ハンドルを操作して車を操ります。そのとき、手足の動きを特に言語化したりしませんね。
先述の『自転車の乗り方』も同じです。言葉で説明するより、実際に乗って身体で覚えていくものです。
2つを言い換えるなら、
形式知は、『言葉』で教えていくもの
暗黙知は、『行動』で教えていくもの
と言えると思います。ですので、【 教える側の人 】は2つをはっきり区別して、前者を教えている時は『言葉』で、後者を教えている時は『行動』で示すことが大切です。しかし、ここで重大な間違いを冒す人が意外と多いのです。その重大な間違いとは、
形式知を『行動』で教える
暗黙知を『言葉』で教える
【 逆 】になっています。
なかでも、暗黙知とはそもそも『言語化できないもの(言語化することが難しいもの)』です。それなのに、無理に言葉で説明しようとして、意味の分からない説明になってしまう。これでは教えられる方が困惑することでしょう。
さらに問題なのは、暗黙知を『行動』だけで教えるなら、教えられる側からすれば『視覚からの情報』だけを処理すれば済む話なのですが、無理に言語化して説明すると『聴覚からの情報』も加わってきます。つまり暗黙知を、
『行動』だけで教える...情報が【 視覚 】からの1つだけ
『行動』と『言葉』で教える...情報が【 視覚 】と【 聴覚 】の2つに増える
こうなります。暗黙知を言語化するのは「丁寧に教えよう」と思ってのことかもしれませんが、その結果は【 逆効果 】になるのです。どちらかというと不真面目な人より『真面目な人』ほど、この間違いを冒します。
人は、2つの作業を同時にはできません。できるようになるのは練習したからですが、ここで言いたいことは「1つでいいものを、わざわざ2つに増やす必要はない」ということです。2つに増やすと『成長が遅くなってしまう』からです。
自転車の乗り方の練習と同じです。1つ1つ順番に教えた方が成長は早いのに、2つを同時に教えると、成長が遅くなるだけなので意味がありません。ですので、暗黙知を教えるときは、
【 言葉で説明しながら行動を見せる 】のではなく、
【 黙って行動を見せるだけ 】で構いません。
暗黙知における【 無駄な言語化 】は『マニュアル書』などでも見ることがあります。規則や法令から「仕方ないのかなぁ」と思いますが、人に仕事を教えるときには【 無駄な言語化 】を意識してみるといいでしょう。
『行動だけを見せるとき』と『行動を見せながら言葉も交えるとき』を、区別して教えてあげてください。それだけで『成長速度』が変わってきますから。
2. Servant Leadership
【 百見は一考に如かず 】
参考サイト
サーバントとは【 召使い 】の意味です。つまり、『リーダーが召使い役をする』のです。
ただ、【 召使い 】とはちょっと誇張した表現で、実際には『補助・補佐・支援・脇役』といった表現の方が適切かもしれません。
昭和の時代は支配型のリーダーシップが多かったので、その環境の中でやってきた人たちにとっては『ありえない』ことだと思います。
「主役であるはずのリーダーが、補助や脇役をやるなんておかしい」と思うかもしれません。極端に言うなら、
【 リーダーが、一番下っ端がやるはずの仕事をする 】
ってことです。いやですか? いやかもしれませんが、それによって色々と考え方や視点が変わってきます。
『リーダーシップ』には昭和時代の【 支配型 】と、サーバントリーダーシップのような【 支援型 】の2つがあります。簡単に言うと、
支配型…部下が、自分の補佐をする。部下が、自分の指示を受ける。
支援型…自分が、部下の補助をする。自分が、部下の要望に応える。
支配型のリーダーシップをとる人がよくやるのは、部下の『代わりに作業をする』や『指示を出し続ける』などがあります。責任感の強さの裏返しだと思いますが、実はこれは【 やってはいけないこと 】です。
『代わりに作業をする』とは、スポーツで例えるなら、監督が『選手の代わりに試合に出る』ことと同義です。そんな監督はいませんが、仕事になった途端、なぜか『是』とされています。『プレイングマネージャー』との言葉がありますので、そうなってしまうのはやむ負えないところもあるのでしょうが、本来、『監督は試合には出ません』。何より、代わりにやると『部下が成長しなくなる』のです。
『指示を出し続ける』のも意味不明です。試合をしている選手に対し、監督がずっと『どう動くかの指示を出している』ことと同義だからです。それをされる選手の本音は、おそらく「クソウザいな」でしょうか。なによりその指示は、言われる側の『部下のタイミング』で出しているわけではなく、『自分のタイミング』で出している場合がほとんどです。部下が『どんな状態にいるのか』は「知ったことではない」とでも言いたげな印象を受けます。
指示を出し続けることで、部下は自分の頭で考え自己判断で行動することができなくなりますので、『成長しなくなる』ことがあります。
【 部下の現状を見極めずに、一方的に次から次へ指示を出す 】ことは、相手の状況を考えずに「自己中心的な判断で命令を押し付けてもいいんだ」との『お手本を見せている』ことにもなります。そんなお手本を見た部下は、どんな風に育つでしょうか。
反対に、支援型のリーダーシップは、必要最低限の命令しか出しません。ほとんど『方角を決めるだけ』と言ってもいいかもしれません。そして、各ポジションの人が何を必要としているか、仕事を進めていく中で起こった問題に対しどう対処するのか、などを聞いてから動いていきます。つまり、自分が行動を起こす判断の基準となることが、
『自分が、仕事をできるようにする』ことではなく、
『部下が、仕事をできるようにする』ことになっています。
複数の部下の補佐をすることは、複数の仕事を同時にすることと同義です。ということは『マルチタスク』を行うことになりますね。
【 支配型 】の人がやる、複数の部下に命令を出すことは『マルチタスク』とは言いません。一人の人間が複数の人に命令を出していますので、命令の数も複数なのですが、命令の『発生源は1つ』です。ですので、命令を出した段階ではマルチタスクではなく、一人から『複数のシングルタスク』が発生しただけです。
【 支援型 】の人は、複数の部下から要望が飛んできます。ということは、要望の『発生源は複数』になります。複数の人間から一人の人に要望が来ていますので、受ける側の人がやっているのは『マルチタスク』です。
『マルチタスク』についての話を聞くときに、ここの部分を誤解しているのではないかと思うことがあります。
一人の人間が、複数の人に命令を出していき、命令を受けた人たち各々が応えることは『複数のシングルタスクがある』だけです。
複数の人間が、一人の人に要望を出し、その一人が各要望に応えていくことが『マルチタスク』です。
つまり『命令・要望』に関係なく、それを【 出す人数と受ける人数 】によってのみ、シングルタスクかマルチタスクかが決まります。
命令・要望を、
α. 出す人 / 一人、受ける人 / 一人…シングルタスク
β. 出す人 / 一人、受ける人 / 複数…プルラル・シングルタスク
γ. 出す人 / 複数、受ける人 / 一人…マルチタスク
δ. 出す人 / 複数、受ける人 / 複数…イーチ・シングルタスク
ってことです。
実は、マルチタスクは【 1つの状況でしか生まれない 】のです。他の場合は、シングルタスクか変形型シングルタスクです。
マルチタスクの場合、出す人は『命令』ではなく『要望』を出すことになります。なぜなら、出す人同士で命令が食い違っていたら、受ける人が混乱してしまうからです。ここでよく『ダブルバインド(二重拘束)』が起こりますね。
出す人が『命令』を出しているなら、受ける人は『従わなければならない』ことになりますが、『要望』であれば、受ける人は『自己判断でやるかやらないかを決める』ことができます。4つのパターンを『命令』と『要望』で分けるなら、
命令…α. β. δ.
要望…γ.
と、なります。シングルタスクであれば出すのは『命令』でいいのですが、マルチタスクの場合だけは『要望』でなければいけません。なぜなら、繰り返しになりますが、『ダブルバインド(二重拘束)』などが起こってしまうからです。
一人の人が、一人の相手に『複数の命令(要望)』を出す場合がありますが、このとき、マルチタスクをやるのは命令を『受ける側の人』です。『出す側の人』ではありません。
そして、マルチタスクですからたとえ『命令』だとしても『要望』と捉え直して構いません。つまり、「1度に同時にやるのは難しいな」と判断した場合、言われたことに『順番をつければいい』のです。その順番付けは【 自己判断 】で行います。というか、そもそもマルチタスクは自己判断を【 前提 】としています。
サーバントリーダーシップは、命令や要望を『受ける人の目線で考える』ことになりますので、自然と自社の商品を『受けるお客さんの目線で考える』ことの練習になっているのです。
命令や要望を【 受ける 】人 ≒ 自社の商品を【 受ける 】お客さん
両者は『受ける立場』であることが【 共通 】しています。【 相手の立場に立って考える 】。立場が上になればなるほど、これを高度に理解している必要があります。先ずは、身近なところから【 練習 】を始めてみてはいかがでしょうか。
3. Teal Organization
【 百考は一行に如かず 】
参考サイト
組織は5つの段階に分けられます。参考サイトでは、下からレッド・イエロー・オレンジ・グリーン・ティールの色分けをしています。
いわゆる『ブラック企業』と言われるような会社は、レッド〜オレンジのあたりをやっている可能性があります。現代では『多様性』が求められているようですので、組織としての理想の形はグリーン〜ティールを目指すことが望ましいと考えます。
一番下のレッドは『個人の力で支配的にマネジメント』する組織なので、多様性とは【 真逆 】の思想ですね。
多様性を怖がる(嫌がる)人たちの考え方の1つに、「収集がつかなくなる(まとめられなくなる)」との考え方があると思いますが、そうなってしまうのは『要(かなめ)がない』からです。
『要がなければ、扇は開かない』ので、まとめられなくなってしまうのですが、ということは【 要 】さえあれば、まとめられるのです。
【 要 】となるもので一番簡単で基本中の基本と言えるものが『掃除・片付け・整理整頓』です。この3つは『全員がやる』と決めておけば、それが【 要 】となって、まとまりが効くようになります。
自分の仕事を進めていく『ついで』に整頓なんかができることもあると思いますので、やっておくと『他人にとって』ありがたいと思います。サーバント・リーダーシップでの『相手の目線に立つ』ことの練習にもなっています。
もし、あなたの立場が『上司』と言える立場なのであれば、整頓などをしている姿を見せることで、部下の『お手本』になっています。そんなお手本を見た部下はどんな行動をとるようになるでしょうか。先ずは、あなた自身が始めてみてください。
ティール組織では、個々人が『自分は何をするべきか?』を分かっているので、命令や指示が少なくてすみます。それこそ、命令や指示ではなく『報告』だけになったりしますね。『大声で命令を出す』なんてことはしなくていい環境です。
少し話は逸れますが、『大声で命令を出す』ことによるデメリットの話をしましょう。この行為をしてしまう人もいると思いますが、これをすると【 言う人も聞く人も『気が逸れる』】のです。
言っている人は、大声を出すことにより気が逸れて、自分の手が止まってしまいますし、聞いている人は、大声を聞くことで気が逸れてしまい、手が止まってしまいます。結果、仕事が進まなくなってしまいます。
【 百害あって一利なし 】なのです。
大声は、状況によっては感情にまかせて言ってしまう人もいるかと思いますが、本来、大声は『遠くにいる人』に向けて使うものです。相手との距離が、大声を出さなければいけないほど離れているのかを、今一度確認してみてください。実は、そんなに距離は離れていないことがほとんどだと思います。つまり、『大声』を出すかどうかは、
『感情によって決まるもの』ではなく、
『距離によって決まるもの』です。
物理的な距離が近くなのに、大声を出すのは『心の距離が離れている』と感じているのかもしれませんが、心の距離を縮めたいのであれば、大声を出すのは『逆効果』でしかありません。どんどん離れていきます。
大声の使い方を間違えると、ただの【 威嚇 】になるからです。威嚇されているのですから、そりゃ離れますよね。
もし、大声によって心が近づくのであれば、それは【 脅迫 】によって強制的に近づけただけです。あるいは、大人にかまってほしい子供が、喚き散らすのと同じ行為です。『大人』が使うような方法ではありませんね。
さて、話を元に戻しますが、人は1つのことに【 集中 】できたときに、最大のパフォーマンスを発揮します。ですので、自分の仕事『以外の仕事』を任せられる誰かがいる環境になると、全員のパフォーマンスが向上します。自分は、自分の仕事だけに集中できるので当然と言えば当然です。
では、自分の仕事『以外の仕事』とはなんなのか? そこを判断し、仕事が一人に偏ったりしないように全員に振り分け、マネジメントしていくから『マネージャー』と呼ばれるのです。大事なことは、
自分の仕事『以外の仕事』だけではなく、
他人の仕事『以外の仕事』のことも考えることです。
つまり、「これは自分の仕事なのか?」と問うのと同じ感覚で「これは他人の仕事なのか?」と問うことですね。
個々人がプレイヤーでありながら、マネージャーの視点も持ち、自己判断で行動できる組織が『ティール組織』なのです。『鳥の目、虫の目』とも言いますが、マネージャーの『俯瞰的視点』と、プレイヤーの『集注的視点』の両方を、全員が持っている必要があります。
学生時代に部活をやっていた人はすぐに気づきますが、社会に出ると『マネージャー』の言葉の意味が真逆になっていますね。部活ではマネージャーは『補佐役』でした。しかし、社会に出ると『主役』になっていたりします。
組織の中で各々が、お互いに『補佐役のマネージャー』と『主役のマネージャー』を交互に行うことで、お互いの仕事がスムーズに進んでいくのです。
『補佐役のマネージャー』とは、自分でもあり相手でもあります。
『主役のマネージャー』とは、自分でもあり相手でもあります。
仕事を全員に振り分けるとは、振り分けた仕事が全て自分に戻ってくることでもあります。一点から始まった線が複数に分かれ、分かれた複数の線から一点に収束されていく。前者は『命令』、後者は『要望』とも言えます。『発散』と『収束』ですね。
2つの視点では『捉え方』や『考え方』、『感じ方』が違うのですが、それが分かるようになったら、ティール組織は完成しています。
教える視点から見るだけではなく、教わる視点からも見る
命令を出す視点から見るだけではなく、要望を受ける視点からも見る
補佐される視点から見るだけではなく、補佐する視点からも見る
お互いに相手側からの視点で見ることで、人は成長していくのだと考えます。
おわりに
【 職人を育てる前に、人間を育てる 】
表題の【 SEQUENCED VERSES 】は造語なのですが『順序立てた詩節』と訳せますかね? 英語はよく分からないので文法的に合っているのかは分かりません。「じゃあなんで英語にしたんだ」と言われそうですが、単に『英語にしてみたかったから』です。(キッパリ)
建築や飲食の世界は『職人文化』です。そして、職人文化では【 掃除・片付け・整理整頓 】が基本中の基本になります。この基本を抜かして次に進むことはあり得ません。なぜならここを抜かして次に進んでしまうと、次の作業で掃除・片付け・整理整頓をしなくなるからです。結果、職場がどんどん汚くなっていきます。
たとえば、問題の原因が『自分』であったとしましょう。しかし、現代の世界は問題に対し全て『事後対応』をしています。
【 問題が起こってから、その問題を解決していく 】のです。
であるならば、問題の原因を『探さなくていい』とも言えます。そのことにより『原因』はずっと放置されるので、『自分自身は何も改善する必要がない』ことになります。結果、自分の『成長が止まってしまう』のです。
問題を【 事後対応で解決する世界 】では、【 原因を追求することがない 】ので、【 改善・修正による進化がなくなる 】のです。
このような世界では『問題を解決する能力』ばかりが評価され、『問題が起きないようにする能力』は評価されません。簡単に言うなら『ケツを拭く能力』ばかりが求められている世界なのです。
目の前の問題(起こった後)にばかり気を取られ、
背後にある原因(起こる前)が放置されています。
あんまり他人のことは言えませんが、現代人の【 精神的な未熟さ 】は、ここに要因の1つがあるのかもしれません。
体や脳に『障害』があるなどの理由があり、それができないのであれば仕方ないと思います。障害によっては現代の医学ではまだ治せない(治すのが難しい)ものもありますので、そのままでもいいように【 世界の方を変える 】ことも必要でしょう。
ただ、そうでないのであれば「自分でできることは自分でやりなさい」と、子供の頃に親に教えられた言葉を思い出してみてください。
発達障害や、発達障害グレーゾーンと言われる人たちは、暗黙知を言葉で教えられたりすると、視覚と聴覚の2つの感覚器官を使うことになるので、仕事を覚えるのに時間がかかります。マルチタスクが苦手な傾向があるからです。
ただ、実はマルチタスクは常人であってもできている人はあまりいないのです。できていると思っている人は、変形型のシングルタスクを『誤認』していることがあるのです。
障害を持つ人は、自分を『補助される側の人』だと認識していると思いますが、常人の『マネージャー』や『上司』と言われる立場の人も、『補助される側の人』だと思っていたりします。非常に厄介です。
『マルチタスク』が苦手なことから仕事の覚えが悪く、常に『補助される側』にいるので【 劣等感 】を抱く人もいるみたいですが、そんなに気にしなくてもいいです。なぜなら、思っているほど常人もできていませんから。
本文で目指してきたティール組織は、『チームプレーではなく個人プレーだ』と考える人もいるかもしれませんが、私の考えはまったく逆で『最高レベルのチームプレー』だと思っています。
チームプレーには『連携』が必要ですが、一歩間違うと『依存』や『束縛』になってしまいます。常に連絡を取っていないといられなくなり、必要のない連絡まで取ってしまうような状態です。これはチームプレーではありません。ただの『依存』や『束縛』です。
個々人が精神的に自立できていない段階で、チームプレーをやるとこうなる場合がありますね。お互いに依存し合っているだけなのですが、本人たちはそれに気づいていないことがあります。
『協力』ではなく『共依存』、『連携』ではなく『束縛』、『信頼』ではなく『懐疑』、『心配』ではなく『自己愛』、『奉仕』ではなく『犠牲』…etc
ここの区別は結構難しいんですよね。私もできているとは言えないのですが、人として成熟していればいるほど、ここの見極めがしっかりできていると思います。
人を評価するときはいろんな指標がありますが、有名なのは【 IQ 】と【 EQ 】があります。IQは『頭の知能指数』、EQは『心の知能指数』です。IQはテストですぐ測れますが、EQがなかなか測れないのです。
視覚化しにくいEQですが、『文章化』してみると意外と見えたりしますよ。自分の仕事について『作文』を書いてみるといいかもしれません。
【 文章は嘘をつけない 】
自分のやっている仕事についてどう思っているのか、どう考えているのか、利益は大事なのですが、それだけではなく、人としてどのように成長したいのか、目指している『像』があるのかなど、文章で表してみることをお勧めします。
評価する側だけではなく、本人にとっても意外な発見があるかもしれませんよ。
それでは、今回はこの辺で。
エンディングは懐かしのブラックビスケッツ🍪『タイミング』⏳♫
*参考書籍*
・上流思考「問題が起こる前」に解決する新しい問題解決の思考法 ダン・ヒース 著/櫻井 祐子 訳 ダイヤモンド社
・ブラック企業殲滅論 ~『親と月夜はいつもよい』助けてお母さん!~
・ホワイト企業創生論 〜陽気発する処、金石も亦透る〜
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